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序
青く澄みわたる空。
涼やかな風に揺れる、芝生のフィールド。
天井のないドーム型の練習場は、観客で満員だ。
正面の相手を見据える。
ひとつ年上の先輩剣士だったか。今にも俺に斬りかかってきそうだ。目が血走っている。
だが、一片の隙もない。
気は、抜けないな。
俺も、腰の剣に手を当てる。
辺りの喧騒は遠ざかり、神経が研ぎ澄まされていくのがわかる。
相手を圧倒すること。それは、どんなに相手が弱くても、どんなに相手が強くても、同じく課せられる俺の義務。
それほどの力がなければ、あの人には。
オヤジには、追いつけない。
「追いつけるさ、お前なら」
そう言って笑った、あのオヤジには。
だから。
常に全身全霊で。
俺は闘い続ける。
試合開始の合図で、俺は眼前の奴と同時に、地面を蹴った。