終わった日
目覚めると、そこは自宅のトイレであった。酒の空き缶、コンビニ弁当のごみを掻き分けベッドに戻り、たばこに火をつける。
見慣れた部屋、1K、家賃2万5千円、大学生の一人暮らしには相応しい光景。スマホで時間を確認すると15時22分。いつもと同じ起床時間。今日が今日ではなく、堕落した毎日の1ピースでしかないと思い知らされる瞬間。
でも、なぜだろう。違和感を感じる。なぜ、涙がでるのだろう。今日が、なにか、意味のある今日であるかのように。
「飲みすぎたかな」
軽い頭痛が残る中、身支度を済ませ、家をでた。鍵も閉めずに、またたばこに火をつける。青空の下での2本目は、1本目に勝らずとも劣らない、などと謎の理論を展開しつつ、愛車のズーマーにまたがる。
目的地はパチンコ店。大学へは行かない。俺は、Fラン私立大学の一応4年生。年齢は今年で26。まあ、つまり、そういうことだ。
「さぁて、今日はGADで万枚いただきましょうかねぇ」
意気揚々と入店してから5時間後、傍から見るに俺の顔は、敗者のそれであった。
これはいつものこと。
家に着くころには11時を回っていた。それから、安い酒を飲み始めた。
これもいつものこと。
普段なら、ひたすらに飲み続け、明日の午後3時を迎えるだけであるが、しかし、やはり、今日は何かが違った。不意に、このような毎日を送ることで世界から、自分から逃げているのではないかと感じた。
酒が進まない。
記憶がなくなり眠るいつもとは違い、今日はもう寝ることにした。
「あれ、何か忘れてる?」
俺は長い長い夢を見た。