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一般人、ファンタジーに挑む。  作者: ストゼロが友達
3/4

第一回作戦会議

話考えるのって難しいですね。

思い付きで書いてると話まとまらないし。かといって、適当に書いてると面白くないし。


金髪お嬢様と男たちとのなぞ取引を見かけた翌日、つまりは高校生活三日目。


いまだ三日目だというのに、ツンデレ幼馴染は学校を休んだ。

担任からはなぜ休んだか…という話は出なかった。


「おい、これってまさか…」

「いや、そんな、まさか…」


ありえない話ではない。

昨日の話の延長戦上にあるものだという可能性はかなり高い。なにせ、三日目、それも昨日まではうるさいくらい元気であったツンデレ幼馴染だ。ただの風邪ならば這ってでも登校してくるだろう。というか、そもそも風邪にかかったこと自体気づかないかもしれない。


そして、その考えが二人の中で確定したのが次の日。

四日目のことだ。その日もまた、ツンデレ幼馴染は欠席した。対照的に、金髪お嬢様は妙に元気だ。

こぼれ聞いた話をまとめる限り、昨日勇者様が様子を見に行った時は外出中で家にいなかったそうだ。欠席したのに?普通ならば、そのまま家で大人しくさせておくだろう。


「どうするよ、白金」

「どうするって言われてもねぇ…」

「絶対にただごとじゃねぇぞ?もしかしたら昨日の奴らがツンデレ幼馴染になんかしてるかもしれねぇ」

「僕らにできることなんてないよ」

「……だからって見捨てれねぇだろ。ツンデレ幼馴染がなんかわりぃことしたわけでもねぇだろうに」

「そういうのは勇者様の役目でしょう」

「それじゃ遅すぎる。俺たちが干渉すれば勇者様の解決までに至る速度はかなり縮まるはずだ」

「そんなうまくいくかなぁ?相手はヤクザもいるんだよ?それに、ここでなにかすれば僕らの平穏は遠のいてく」

「だから?ここであいつを見捨てりゃ俺たちはこのままずっと後引くことになるんだぞ?」


こうなると、雄二は折れない。


意外と正義感が強いのだ、この男は。

他人の女関連で動くのは珍しい。今回の件になにかしらの想いがあるのかもしれない。

ツンデレ幼馴染に惚れたとかはありえないだろうが…


「わかったよ。僕も手伝う」

「ありがてぇ」

「ただし、中途半端は許さない。勇者がほぼなにもしなくとも解決まで突き進めるように動くよ」

「さすがは白金だぜ」

「勇者様とツンデレ幼馴染の物語をこんなところで終わらせるわけにはいかないからね」


二人は動き出す。


一般人が動くには限界がある。だが、世の中ってやつの攻略は自分ができるギリギリの策をひねり出し、限界を自分が超えられる位置にまで引きずり落とさねばならない。

死ぬほど考えて、ギリギリを乗り越えさえすれば、限界は落ちてくる。待つだけの人間は他人からのおこぼれを拾うことしかできず、自分の願いをかなえることはできない。


「うっし、んじゃ、今日はいつものとこで作戦会議だな」

「了解。だけど、今回は雄二のおごりだからね」

「まかせなさぁい」


四日目の放課後、二人は駅前の喫茶店へ。ゴリラが営業するカフェ。やつが淹れるコーヒーはとてつもなくうまい。しかし、店主がゴリラゆえに集まるのはコアなリピーターばかり。一見さんはほぼこない。誰かに紹介される以外に人は来ない。赤字ギリギリらしいが、なぜかここのゴリラは金持ち。なんでも、喫茶店の店主は一応副業なのだとか。


「ん?おお、お前らまた来たのか。暇だな~」

「黙れゴリラ」

「棺桶に戻れゴリラ」

「金だけおいて帰れくそガキども」


いつものゴリラジョークをかまし、二人は一番奥の席へと向かう。

注文はしない。いつも通りのメニューが勝手に運ばれてくるからだ。


席に着くと、さっそく作戦会議を始める


「まず、あのUSBになにが入ってるか。それを確認する必要がある」

「本人には聞けないだろうし、あのヤクザに聞く気にもなれないしねぇ」

「そうなるとUSB本体、もしくはそいつをつなげた機械を手に入れねばならんということになる」

「難しい話だね」

「あぁ。どっちをやるにしても犯罪性が高いうえに、USBに関して言えば破棄されたら終わり。いかにばれずことを進めるのかが大切だ」

「どうするか」


金髪お嬢様がなにかをしたのを前提で話をしているが、まだそうでない可能性もある。

いまだ確証を得ていないため、想像、妄想の域でしかない。

これでお嬢様が何もしていなっかた場合、二人は無実の少女を陥れようとした悪者になってしまう。質の悪いミイラ取りになってしまうわけだ。それに、ここで金髪お嬢様を被害者にしてしまうと、勇者様が黙っていないだろう。


つまり、金髪お嬢様がなにかをした証拠、確固たる証拠が必要なのだ。


「USB…さてどうするか」

「忍び込む?」

「いや、金髪お嬢様の家にあるとは限らんだろう。それも、さぞ大切なものだろうしな」

「そう簡単に見つかる場所に保管しないか」

「あぁ。だが、肌身離さず持っている…なんてことはないだろう。もし、それがツンデレ幼馴染を強請る材料だったとしたら、それは金髪お嬢様だけの手札にしたいだろうしな」

「金髪お嬢様だけの手札にしたいっていうのは間違いないと思うけど…強請る気はないと思う」

「む…あぁ、そうか、確かにそうだな」


もし、強請るのが目的だったとしたら、ツンデレ幼馴染は今頃お嬢様の奴隷だろう。

あのお嬢様ならば他の取り巻きたちの前でニヤニヤと笑みを浮かべながらに無理な命令を下すだろう。しかし、現実は違う。ツンデレ幼馴染は奴隷になる以前に、学校に来なくなった。服従の意思はないということだ。


ツンデレ幼馴染はお嬢様の命令で不登校になったのではなく、自らの意思で引き籠もっているのではないだろうか。


「確実に言えるのは勇者様にはばれちゃいけない案件だってことだね」

「だな。こりゃまた難解だ」

「うーん…動きづらい」

「全くだ。お嬢様をつぶすわけにはいかんし、かといってツンデレを放置していれば、勇者様関連のごたごたは広がる一方だろう」

「お嬢様が調子に乗らなければいいんだけど…」

「そう、それが問題だ。被害者が二人に増えればさすがの鈍感勇者様でも気が付くだろう」


お嬢様が練った策は成功し、見事敵馬を一頭始末してみせた。

己の伝手や権力を使って他社をけり落とすのが悪いとは言わない。大人になれば一度は体験することだ。しかし、世も知らない高校生が体験するのでは重さが違う。高校生の時期は多感で、精神的に脆い。ふさぎ込むのも無理はない。


「しゃーねぇ…か」

「まさか…」

「やるっきゃねぇよ。それに、一般家庭に忍び込むよりかはマシだろう?」

「それは社会的な問題だろう?僕が心配しているのは自分の命だよ」

「俺は大丈夫だ」

「君はね。丈夫だから。僕は君ほど優秀な肉体は持っていない」


白金は猛反対。

しかし。雄二はやる気である。


雄二が言うのはこういうことだ。

『お嬢様の家に不法侵入よりも、ヤクザ邸にお邪魔したほうが気が楽だろう?』

ということだ。


他人のためにそこまですること自体がまずおかしいのだ。


「……わかった。忍び込むのは俺一人でやる」

「頼むからそうして」


巻き込まれたらたまったもんじゃない。

白金にも正義感はあるし、少なくない自己犠牲精神はある。しかし、それは自分の命あってこそだ。策を練るにしても自分が生き残る道でなければ意味がない。自分のいない未来の世界が幸せになったとしても自分は微塵もうれしくない。

むしろ、なぜそこに自分がいないのか、世界の残酷さを呪うことになるだろう。


「僕も僕でできることないか探してみるからさ」


白金はニヤッと笑う。

この二人の関係上、よくあることだ。雄二が無理をして正面から崩す、そして白金がちょいちょいっと手を貸して無理やり壁を越えさせる。


ごり押し。

簡単に作戦を決め、二人の作戦会議は終了。ここからは雑談タイム兼、お食事タイムだ。

ゴリラの手料理はなぜかうまい。

「あのゴリラからいかようにしてこのような繊細な味が!?」

初めて来た人間はだいたいそう言う。


「うん、おいしい」

「だな、さすがは似非ゴリラだ」


ゴリラによる軽めのサンドイッチ。

ゴリラサンドはこの店一番人気なのである。



物語を書くのが早いときは娘からのラインが一切来ないとき。

逆に遅いときは幸せに満ちているとき。

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