表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
身の丈に合った学生生活とは  作者: ひいらぎ
3/4

三野岡 明日と嶽岡 未来が交際をはじめた経緯

あらゆる分野で中央値を取っていた()には、他人のポテンシャルがある程度推測できた。

 何のことはない、自分より優れていればその人は真ん中より上で、自分より劣っていれば真ん中より下だ、とわかるだけだったが。

 そして()()は数多くの分野で彼を上回っているにも関わらず、それを押し隠しているように見受けられた。


 彼には理解できなかった。彼がどこかで望んでいた力を彼女は自然と持っているのに、どうしてああまでひた隠しにして抑え込んでいるのか。

 


 あれだけ多岐にわたって人並み以上の実力を持っているなら、人を率いることだってできるだろうに。どうしてひっそり生きているんだろう。

 初めはただの好奇心だった。彼は彼女を気にかけはじめた。


 どう考えてもあっちが悪いのに、どうしていつもいつも折れるんだろう。やり合えば勝てる相手じゃないか。

 次に、もどかしさに歯噛みした。彼は彼女を強く意識しはじめた。


 ああ、へたくそ。勉強でなら何もかもわかるくせに、どうしてこんなことにつまずくんだ。人と接するのはそんなに難しいか。人に合わせるのはそんなにやりにくいか。

 それから、助けたい、手を差し伸べたい、と願った。彼は彼女に近づく方法を考えはじめた。


 まったく目立たない彼は人付き合いでも大きく目立つヘマも大きく目立つ成功もしなかったが、幼少期に身に付けていた処世術により、まあまあな関係を周囲と築いていた。

 そして彼は、なんとなしに彼女への好意を、彼女本人ではなく周囲へ悟らせた。


 彼女は誰かからの視線に気を配れるほど器用ではなく、埋められていく外堀を崩せるほど豪胆ではなく、そして()()意を突っぱねられるほど彼を嫌っていなかった。


 そうして、彼と彼女は恋人関係に至って。たくさんの秘密を共有して。『三野嶽(ミノタケ)夫婦』と、呼ばれるようになっていった。

 ただ、その呼称には、『身の丈に合っている』なんて少し不名誉な意味が含まれていた。


 彼は幸いにも平凡な自分にきちんと満足していて、彼女に引け目を感じすぎることもなく、対等に接することができた。

 彼女にはそれが新鮮だった。中学まではなんとなく『上』に見られ、高校からはなんとなく『下』に見られながら、生きてきていたから。

 そして、彼となら、『身の丈に合っている地味なカップル』というレッテルも悪くないな、と思うのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ