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平和な世界

どうも。こんにちは。

弦間 和将です。

最近、もう一つの方の連載がおろそかになってしまってすいません。

多分待ってる方いないと思うけど。

まぁ今回もよろしくお願いします。では、どうぞ。

「おい!にいちゃん!」


「え!? なに!?」


 俺は突然肩を叩かれ、驚きのあまり、全身をびっくぅ! とさせてしまった。

天使と話すのに夢中になって気づかなかったようだ。


俺は肩を叩いた奴の顔を見ようと目線をあげた。


「うおっ!」


 で、でかい……


今までに見たことのないくらい大きい人間が立っていた。

いや、人間なのかもわからない。

でも、少々薄汚れてはいるがちゃんと服は着ている。

背丈はひとの2倍はありそうだ。

喧嘩なんかしたら一瞬でひねり潰されそうなガタイをしている。


正直いって……めちゃくちゃ怖い。

多分歳は40歳くらいだろう。


「おい、そんなビックリすんなって。しかも2回も。こんな体してるけど流石に俺でも傷つくぜ…」


大男はそんな体をしているにも関わらず、大袈裟に肩を落とした。


「あ、あぁごめんなさい! ごめんなさい!」


 かっこ悪い。非常にかっこ悪い。最っ高にかっこ悪い。

すぐに腰を90度に曲げ、謝罪する。

たぶん今の腰の角度は直角そのものだろう。


「お、おう。まぁいいってことよ。で、にいちゃんはなんでこんなとこいんだよ? ここってただの平原だぜ?動物すらいやしねぇ。」


なんでと言われても俺が聞きたいくらいだ。


「見かけねぇ顔だし... 変な格好してるしよ。しかもなんか私服がどうたらって一人で話してたが······ お前、もしかして毒にでもやられたのか?」


······ほっとけ。


案外優しいやつなのだろうか。

心配をしてくれているらしい。

ちょっとひどいことを言っているが。


今更だが言語能力は天使がどうにかしてくれたらしい。

おかげで難なく会話することができる。


「いや、食ってないから。まぁ俺もよくわからないんだよ。寝てたらここにいたんだ」


 大男は俺の言葉を聞いて口を大きく開けて笑う。


「ガッハハハハ! にいちゃんはおもしれぇやつだな! 名前はなんて言うんだ?」


 本名は榎宮 弘樹だが、それじゃ少しこの世界に馴染まなさそうだ。


え、の、み、や、ひ、ろ、きだから……

まぁ別にいいや。


いつも俺がゲームで登録してる名前で自己紹介をした。


「俺の名前はアーロンってんだ。よろしく」


 俺の経験上、異世界だったらカタカナ名だろう。

ユリウスとかグレゴリオとか。

それは暦だった。

さぁ大男の名前はなんて言うのだろうか。


「へぇ、変わった名前してんだなー」


え、そうなの?


「俺の名前はオオタ アキラっつぅ名前だ。」



「っておぉぉぉい!」



 異世界に来て2度目の大ツッコミが出た。


なんだよオオタ アキラってよ! 完全に日本名じゃねぇか!


この世界は日本名が主流なのだろうか。

だが、まだ間に合うと思い、俺は真実を話した。


「ご、ごめんなさい! 嘘つきました! ホントは榎宮 弘樹って言います!」


 

 ············信じてくれるだろうか?



 と思っていると、またもやア、アキラ? は笑いだした。

しかもお腹を抱えて大爆笑だしている。


「ガハハハハハ! や、やっぱおもしれぇわ!ヒィィィ! よし、 にいちゃん気に入った! なんも持ってないところ見るとどうせ金無いんだろ?」


「そうなんです。見ての通り一文無しで······」


「なら家泊まってけよ!」


······マッジかよおい! いきなり助け舟がきたー!


「ほ、ホントですか?ありがとうございます!」


俺はペコリと頭を下げた。

本当にラッキーだ。

盗賊に見つかってたらそれこそ殺されるところだった。


 俺はその後、アキラの家へと案内してもらった。

だだっ広い草原をただただずっと歩いた。


アキラは予想通り、とてもいい人だった。

話していたらわかるレベルでいい人だ。

俺は道中でふと自分の行動を振り返った。


そういや、カッコ悪いことしかしてねぇな······

いつの間にか敬語だし。いや、敬語は当然だな。

目上の人には敬語を使おう!



―----------------------------------------------





 だんだんと日が沈み、辺りが朱色に染まってきた。


「よし、そろそろ着くぞ。あと少しで俺の家だ」


 そろそろ、と言われたが、どこにあるのか分からなかった。

それどころか建物らしき姿は一つも見当たらない。

アキラはそのまま山の麓へと歩いていった。

山は深緑の葉に覆われていた。

モンスターとかは出てこないのだろうか。

少し心配になる。


しばらく歩くと山の木々と平原との少し見つけにくい境目の所に家があった。


なんというか、the 百姓の家! って感じだ。

まぁアキラの服装からなんとなく予想はついていたのだが。


「なにをぼうっとしてるんだ? ほら、入るぞー。ただいまぁ」


「パパだー! おかえり! 」


アキラが玄関を開けると同時にかわいい女の子の元気な声が聞こえてくる。

パパ、と言ってるからにはアキラの娘なのだろう。


「こ、こんばんは」


俺がアキラの後ろから顔だけ出して挨拶した。


「わぁ! お客さんだー! こんばんは!変な格好ー!」


 ひょこっと上半身を曲げてこちらを見て、満面の笑みを浮かべる少女。

青色のワンピースを着ていて、髪型はショートだ。ら

外でよく遊んでいるのか、顔は少し日で焼けているようだった。


まぁ確かに少し暑いかもしれない。

日本でいう初夏、と言ったところか。


 そ、それにしてもかわいい……


これはロリコンとかじゃなくて、全動物共通のかわいさだと思う。

きっと小動物とのふれあいコーナーに行った時に感じるあの癒しだ。

こんな()が世界中にいれば世界は平和になるのに、と思った瞬間だった。


「今日はこいつを泊めることにした。エノミヤ ヒロキっつうやつだ。だからマコ、仲良くしてやってくれ」


ほぉ、マコっていうんだな。


というか、マコも日本名だった。

やはりこの世界の名前の基準は日本名なのだろうか。


「わかった! よろしく! ヒロキ兄ちゃん!」


 体いっぱいを使って「任せて」と表現するマコ。


どうでもいい事なのだが、アキラとマコから同じ呼び方されるのって······なんか不思議だ。


「よろしくね!マコちゃん!」


「あら、あなたおかえりなさい。お客さまかしら?」


 中から美人な女性が現れた。

白いエプロンとその下に黒いローブのようなものを着ている。

言動から見てアキラの奥さんなのだろう。


てかアキラの奥さん普通の女性じゃん!


でも一見その服装から、魔法使いかな、と思ってしまう。


「こ、こんばんは!榎宮 弘樹って言います!」


 こんな美人さんと話すなんて何年ぶりだろうか。

つい緊張してしまう。


「あら、ヒロキ君? ふぅん、変わった格好してるのね。 よろしくね! 私はヨウコって言うの」


「はい! 今日はお世話になります!」


 するとアキラがこちらを睨みつけて言ってきた。

いや、正確には耳打ちをした。


相手が女の子だったら胸がドキドキするんだろうがなんてったって相手はオッサンである。

全くと言ってドキドキしない。

むしろ暴力的な意味で怖い。

ドキドキして死んじゃいそうだ。


「おい、なんで俺の嫁に緊張してんだ。場合によっちゃ……」


──ば、場合によっちゃ殺すってか!?


「いやいやいやいや! 奥さんがとても美人だったのでつい緊張してしまっただけで」


「やっぱり俺の嫁を奪おうとしてるんだな!」


「そ、そんなことないですー!」


俺は殺されるんじゃないかと必死に許しを乞うた。

もう涙が出るくらい怖かった。いや、実際に出た。


「……ガハハハハハ! 冗談だって!」



おい、冗談きついぜ……



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 俺はその後、風呂に入れてもらった。

せめてものお礼として俺は薪割りや火の調整などをした。

もちろん実際にやるのは初めてだったから上手くいかなかったが、アキラやヨウコさんに手伝ってもらってなんとか上手くやることが出来た。


 そして、晩御飯も食べさせてもらうことになった。

箸があるところを見るとやはり日本とあまり変わらない。

皆で大きいテーブルを囲み、食事を始めた。

いや、ここは囲炉裏とかだったらもっと和風だったんだけどなぁ。


でもやっぱり家の造りは中世の西洋のものに似ている。


「「「いっただっきまーす!」」」


 ほう、やっぱりいただきますなのか。


「おい、にいちゃん。これからはどうするつもりだ? 流石にいつまでも家へは泊まれないぞ!ガハハハハハ」


ほんとによく笑うなこの人……


「『冒険者』になります! だから、街の場所を教えていただけませんか?」


 するとアキラは急に真顔になってこう言った。

何故かヨウコさんも同じような顔になっていた。


「『冒険者』か。ほんとになるつもりだな?」


 な、何か問題でもあるのだろうか。

いや、俺は決心したんだ。魔王を倒す、と。


俺は息を飲んで頷いた。

するとアキラは急に笑顔になって言った。


「よっしゃ! 明日街に連れていってやる! だから今日は早く寝な!」


「ほ、ホントですか! でもそこまでしてもらってなんか悪いです……」


 さすがの俺でもここまで世話になることはできない。


「何言ってんだ、いいってことよ! ガハハハハハ!」


「ありがとうございます!」


 その後も俺の話でアキラ家の食卓は盛り上がった。

そして夜も更け、寝床へとついた。


こんな生活も悪くないな…… いやいや! 俺は魔王討伐するんだ!


 俺の決心弱すぎじゃなのかと思った。

メンタルは豆腐だし。

たぶんお醤油とかかけたら美味いのだろう。

というか、俺の異世界生活が一日目から順調過ぎる。

この世界にほんとに魔王はいるの?って言うくらい 平和過ぎる。



まぁ、明日から頑張るとするか。



そう思いながら用意してくれた布団に入った。

そして、長く短い一日を終え、俺は眠りへと落ちた。


どうも。こんばんは。

弦間 和将です。

あ、今日は特に話すことはありません。

読んでいただきありがとうございました!

また次の話も楽しみにしといてください。


六月某日

岡山県某所にて

台風3号の存在を知り

学校の休みを祈りつつ

弦間 和将

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