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桜の下の保阪さん。

作者: 比嘉

履き心地が抜群の靴だ。ちょうど足にフィットしているからいい。

保阪さんは靴の紐を丁寧に結んでから思いました。靴の見た目も気に入っていて、ウォーキングシューズです。毎日貯金していたので少し高いのを買いました。心の弾みようも心地良いもので、すぐに出掛けようと、肩がけのバックを背負います。中にはおにぎりが2つ。

外は満開の桜でした。春一番が吹く前だからか、桜もあまり散っていません。保阪さんは余程気分が良いのか、鼻歌まで歌い始めました。

実は、去年の春は色々な仕事が重なって、楽しみにしていたお花見が出来なかったのです。会社に泊まりがけで、とぼとぼ帰路について、1つ、橋を越えた先にある桜の並木道をのぞきますが、落ち込んだ茶色の木が固まっていただけでした。とても暗い気持ちでした。とても暗い気持ちで、玄関に入ったのを何度か夢に見たほどです。

そうして、今年は去年のぶんも合わさってとても綺麗に見えました。桜の木も嬉しそうに揺れています。

桜の木の根元で、静かに眠りました。沢山の花束と、汚れたシューズを横目に見ながら。

「ありがとう」

きっと、保阪さんは、嬉しかったのでしょう。去年は見れなかった桜。

でもやっぱり、家族と見たいそうで、泣いていました。

もう一緒に同じ桜を見れませんでした。

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