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すれ違っても君が好き。  作者: 弥生
3/3

君の不安

「……ね!」



………。



「凜音っ!!」



「え!?な、何?」



「聞いてなかったな…。まぁ、良いや。」



昨日から何だかおかしい。



如月のあの声が頭から離れない。



「あ、彩夏あのねっ!きさら…」



あ、誰にも言っちゃダメって言われたんだ…。



「ん?如月が何?」



ヤバいヤバい、如月凄い睨んでる。



「きさら、木皿って知ってる?オシャレだよね~」



「木のお皿?まぁ、サラダとかのせたいよね。」



何とか乗りきった?



ホッとした時、



「後で教えてね、如月のこと♪」



彩夏がズイッと私に近づいて耳打ちをした。



バ、バレてる。






キーンコーンカーンコーン





私は不安を抱えたまま昼休み、午後の授業が終わり放課後になった。







「凜音!かーえーろー!」



私に相当話を聞きたいらしくウキウキしながら席にやって来た。



「あの…彩夏ゴメンね。これから一緒に帰れないんだ…」



「え?」



彩夏は眉を八の字にして悲しんだ顔をしている。



そんな顔されたら無理だよ…。



「ちょっと凜音、カモン!」



え、え、と戸惑う私をよそに彩夏は無言で私の手を引っ張った。










「凜音、如月と何かあった?」



人気のない階段まで連れてこられた。



「う、うん。でも言えない…」



「はぁー」



私がウジウジしながら言うと彩夏は盛大に溜め息をついた。



「凜音が言いたくないならいいけど、何かあったらちゃんと言ってね、いつでも相談のるよ!」



彩夏の言葉に涙が出そうになった。



「あ、あやかぁ~、ありがと!いつか言うから、待ってて?」



「はいはい、あ。

帰り一緒に帰れないなら彼氏と帰るから気にしないで…」



「えっ!?」



急に視界がフワッと暗くなった。



これ、誰かの手?



長い指、でも大きいな…男子?



「山口、教室行くよ。」



視界が明るくなったと思ったら手首を掴まれまた引っ張られた。



私はあたふたしながら



「彩夏!ありがと!

また明日!」



空いている右手でブンブンと手を振った。










「き、如月、」



さっきから何も言わないで歩いている如月。



怒らせた?


呆れたかな?



あれこれ考えてるうちに教室に着いた。



「山口。」



ビクッ



「はい!」




「ゴメン。」




「ご、ごめん………え?」




え、今ゴメンって言った?何故に?



「話してたのに、山口帰っちゃうんじゃないかと思って…」



シュンとしている如月を見て可愛いなと思ってしまった。



「帰んないよ。だって聞きたいもん、如月の声。」



そう言うと如月は笑顔で歌い始めた。




「君が好き」♪




如月の歌っている姿を見て歌いたくて歌った。



すると急に歌が止まり如月がバッとこちらを見た。



「あ…ごめん、邪魔しちゃったね」


「いや、」



如月はボーッと私を見ている。



「おーい、どうした?」



如月の顔の前で手を振る。



「凄く良い、」



「へっ」



「山口何もかも普通なのに声良い」



今、さらっと悪口言ったよね?



「え、褒めてる?」



「うん、山口の声好きだわ。」




まただ、



山口に"好き"と言われるとキュンと悲しくなる。



[そろそろ下校時間です。校舎内にいる生徒は早くかえりましょう。]




「帰ろっか。」



「うん」



そう言って二人で教室を出た。






「山口どこに住んでんの?」



「○○駅の近く」



「あ、俺隣の駅だ。良く朝会わなかったね。」



「如月いつも来るの遅いじゃん」



如月は完璧なのに朝は遅い。



常に遅いがその内1週間に1回は遅刻する。



「そんなに俺のことみてんの?」



と意地悪そうな顔で見てくる。



くっそー、ムカつく。


「遅刻する人なんて珍しいなと思って見てただけだから。」


反発して答えを返したが、



「でも見てたんだ?俺のこと好きなの?」



如月の方が上手だった。




「~っ!!」



「如月ウザい。ムカつく。嫌い。」



「山口普通。普通。普通。」



あーー!ウザい!!


さっき少しでも可愛いなって思った自分がバカみたい。



「そのくらい知って…」

「でも、声は綺麗。」



褒められると何も言い返せない。



[○○駅~○○駅~]


あ、降りる駅だ。



あと少しで駅に着きそうになった時、



「!!?」



隣にいた如月が私の肩に頭をのせて、手をギュッと握った。


プシューという音と共にドアが開く。



「如月、私降りなきゃ」



「また明日な。」



耳元でそう言われて手を離された。



私は如月の顔を見ずに降りた。



いや、見られなかった。



そして、ドアが閉まる直前に



「バイバイ、如月!」



顔をあげてそう言った。




「………。何、あの顔。」



電車が走り去り一人で呟いた。



如月は何とも思わずにあんなことしたのかな?



だって、



あんなに…




上っ面だけの笑顔。




如月の本当の笑顔なんて知らないけど、あれはどうでもいい女の子に絡まれた時にする笑顔だったはず。





悲しい。



そう思うとまた、心が悲しく音をならした。

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