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プロローグ
「おはよう」
私は毎日君に声をかける。
君からの返事はない。
「今日はねあの歌、歌うから。」
私は歌う。
君のために、
いつか……、
いや、また君が話せるようになるまでいつまでも待つから。
だからさ、せめて笑って?
恋を知らなかった私に、歌うことの素晴らしさを知らなかった私に、
教えてくれたのは君なんだよ。
今度は私が頑張るから。
私が君を追いかける。
「凜音。」
また、その大好きな声で呼んで。
「柊。」
奇跡なんて信じないよ。
だって君が話せるようになるのは分かってるから。
「柊、大好き。」