第弐幕 死の煉獄と鎖からの解放
僕が風丸を倒してから、隊士達は次々へと戦死していった。でも、僕にとって最もつらかったのは沖田が死んだことだった。土方さん以外の隊士達は僕のことで不思議がっていた。「相方が死んだというのに、何故、涙一滴流さないんだ」と。ただ、沖田は僕だけに言った。「土方さんをよろしくね」と。沖田はそれだけ言って、永遠の眠りについた。
~函館・五稜郭~
月が見える窓を見ると、丸く輝く満月が僕を見ていた。
「今日は満月だったんだ」
僕は月を見ながら呟いた。思い出せば、よく沖田と一緒に縁側に座って月を見ていた。
「沖田……会いたいよ……」
僕はそう言いながら、月に涙を見せた。
「九尾」
急に後ろから声がして、涙の雫を拭き取り後ろを振り向くと、土方さんが扉の前に立っていた。
「何か用?」
「泣いてたのか?」
「泣いてないよ」
土方さんの出た言葉で僕は少し動揺したが、バレない様に隠した。
「無理して笑おうとするな」
土方さんは僕の方に近づき、自分の方に僕を抱き寄せた。
「ひっ、土方さん?」
何故か、土方さんの腕の中が温かく感じた。その温かさで涙腺が壊れそうだった。
「もう、我慢しなくていい。好きなだけ泣け」
土方さんの言葉で僕の涙腺が壊れ、土方さんの腕の中で泣いた。本当はとてもつらかった。風丸を殺してから、ずっと月を見て泣いていたからだ。土方さんはそれに気づいていたのだろう。
投稿が遅くなってしまい、すいませんでした。