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【番外編】いいニーハイの日

【番外編】は本編とはまったく関係ありません。

内容に矛盾が生じる可能性もあるので、その時はパラレルワールドでの話だとでも思っていただければ幸いです。







 そろそろ秋も終わりへと近づく頃、木々から落ちた紅色の葉が普段は殺風景な歩道を彩っている。

 高校二年生の俺こと一ノ瀬和也(いちのせかずや)は、その天然カーペットの上を一人で歩いていた。俺が一歩前へ進むたびに落ち葉はサクサクという音を響かせ、時折吹きつける冷風は俺の頬を刺激しながら、落ち葉を宙へと舞い上げる。



(もうこんな時期か)



 気がつけばいつの間にか冬になっていた。俺の人生の転換点―――葉月と付き合ってから半年以上経過していることになる。



(今年はいろんなことがあったよなぁ)



 葉月だけじゃない。あかりと現実(リアル)で会うようになったのも今年からだし、知り合いもたくさん増えた。ゲームはもちろん、現実でもだ。

 ゲームのイベントでファンの人達に会ったりはしていたが、通常は知り合い以上の関係には発展しないことの方が多かった。



(葉月のおかげ……なのかな)



 もちろん葉月だけではない。あかりや雫、みんなのおかげで俺の人生は変わった。

 だが、たとえ偶然や運命が絡んでいたのだとしても、その『幸運』を呼び寄せてくれたのは間違いなく葉月であることに変わりはない。



(親バカならぬ彼氏バカ、なんてな)



 彼女への感謝を心に刻み、俺は学校へと歩みを進める。





◆◆◆◆◆◆





 学校に着くと、俺は校門の前で葉月と渡辺を見つけた。とうぜん、俺が声をかけたのは葉月の方である。



「おはよう、葉月」



 俺に気づいた葉月は笑顔でこちらに振り向いた。



「おはよう、和也くん!」



 こうやって毎朝女の子に当たり前のように挨拶するようになっただけでも、俺にとっては十分な進歩である。



(今日も葉月はかわいいなぁ……ん?)



 彼女の様子がおかしい。具体的には、顔を赤くしながら足をモジモジさせている。たしかに付き合ったばかりの頃はお互い照れくさくて挨拶すらまともにできなかったが、今更何を恥ずかしがることがあろうか。



(ん?足……?あっ、まさか!)



 葉月には恥ずかしい時に足をくねらせる癖はないはずだ。

 ということは、原因はこれで間違いないだろう。



(ニーハイを履いている、だと……)



 そう、今まで素足派だと思っていた葉月がニーハイを履いているのである。去年はたしか履いていなかったはずだが……。



(てことは初ニーハイ?それでこんなに恥ずかしがってるのか?なんだよそれ可愛すぎだろっ!?)



「あ、あのっ!」



 俺がそんな思考を巡らせていると、急に葉月が声を上げた。



「えっと、寒くなってきたし履いてみたんだけど……どうかな。へ、変じゃない?わたし初めてだから……」



「変なんかじゃないよ。すごく似合ってる」



 黒色のニーハイが、葉月のスラッとした脚をさらに強調している。上部のゴムの部分で少し締め付けられている太ももは、思春期の男子の性欲を刺激してくる。細すぎず、太すぎない。絶妙なバランスが保たれている。



「よかったぁ。変って思われたらどうしようかと思って……朝からヒヤヒヤしてたんだ〜」



 葉月はホッとしたように胸をなで下ろし、再び俺に眩しい笑顔を向けた。まだ少し恥ずかしいのか、頬は赤みがかっていた。





◆◆◆◆◆◆





 教室に入って自分の席に着くと、さっそく渡辺が話しかけてきた。



「なぁなぁ、知ってるか和也?今日は『いいニーハイ』の日なんだぜ?」



「会って一言目がそれかよ。お前はどこの変態王子だよ」



 11月28日だから『いいニーハイ』ってか?誰が思いついたんだよそんなの。()しくも葉月の初ニーハイの日とかぶるとは……。



「なんだよ、お前ニーソ派なのか?」



 そういう問題じゃねぇよ。

 てか、なんで俺が足フェチだということが前提になってるんだよ。

 いや別に嫌いではないっていうか……まぁ、好きなんだけどな。



「言われてみればたしかにニーハイ履いてきてる女子が多いような……」



 よく見れば、クラスの半分以上の女子がニーハイを履いている。黒を筆頭に、白や紺色などのニーハイを履いている女子も見られる。



「いや、別にニーハイの日だから履いてるわけではないだろ。馬鹿なのか?」



「ぶっ飛ばすぞお前」




◆◆◆◆◆◆




 放課後、俺はいつものように葉月と一緒に下校しているのだが・・・またもや彼女の様子が変だ。しかも今回は困ったことに怒っているようなのだ。しかし怒らせるようなことを言った覚えはまったくない。



「えーと、葉月さん?何を怒っていらっしゃるのでしょう……」



 お手上げ状態の俺が葉月に声をかけると、前を歩いていた彼女が急に立ち止まった。



「――――から」



「え?」



 下を向きながら小声で言ったので、よく聞き取れなかった。



「和也くんが……今日ずっと他の女子を見ていたから」



 ……は?

 俺が、葉月以外の女子を見ていた!?

 しかも今日ずっと!?



(むしろ俺が驚きだわ!)



 そんなはずはない。しかし葉月が嘘をついているとも思えないし……まさか無意識!?



「は、葉月の勘違いじゃないか?」



「勘違いじゃないよ!ずっといろんな人の脚を見てた!!」



 ん?今「脚を見てた」って言ったのか?

 ま、まさか……。



渡辺(あいつ)が変なこと吹き込むから無意識に見ちゃってたのか?!しかも、葉月が気づくくらいに!?)



 もしかしたら今頃クラスの女子たちが俺の悪口を言っているのかもしれない。一日中女子の脚を見ていたのだ、可能性はゼロじゃない。



「ご、ごめん!別にそんなつもりじゃなかったんだ…。なんていうか、渡辺のせいっていうか」



「――――好きなの?」



「……え?」



 俺が必死に言い訳を考えていると、葉月が突然囁いた。



「そんなにこれが好きなの?」



 言いながら葉月はニーハイのゴムの部分をつまみ上げ、離す。すると再びゴムが音を立てながら彼女の太ももを締め付ける。

 俺はついその色っぽい仕草に見惚れてしまう。



(ってニーハイを見てたことまで特定されてんのかよ!?)



 脚を見ていれば自然と目に入ってくる『絶対領域』が俺の興奮をさらに高める。隠された部分から少しだけ見えている『素肌』。やはりニーハイの代表的な魅力の一つといえばこれだろう。



「だったら……少しだけ、触ってみる?」



「さわっ!?!?」



 葉月が上目遣いで俺を見上げてきた。彼女の衝撃的な発言を聞いて正常な判断ができなくなった俺は、ゆっくりと彼女の脚に手を近づけていく……。





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