表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
希う  作者: 樒 七月
16/45

16 ジュンの理由

 ジュンが気絶した後、呼吸をしていることを確かめてベンチへ寝かせた。近くの自動販売機でスポーツドリンクを買ってきて首に当てると、薄く目を開けた。

 その間、ケータは腕を組んでジュンを見ていた。

「ありがとう。時計を確かめたら、白が1になっていた」

「いや、俺の自己満足に付き合わせて悪かった」

 この戦いは、自分のためのものだった。たまたま、ケルンを賭けたのがケータだっただけで。

 ジュンを止めるには、この方法しかなかった。今止めないと、取り返しのつかないことになる。きっと、このままだと傷付くだけだ。

 これからジュンを説得するのが大変かもしれない。強情そうだし。

「あ……気絶、したんだ……」

「ああ。エンデは言わなさそうだったから」

 意識がはっきりしてきたのか、ジュンはスポーツドリンクを受け取り、反対の腕で目を隠した。

「何で、可愛くないといけないんだ?」

「……太っていたんだ。小さい頃は、ぽっちゃりしていて可愛いって。でも、小学生になって『ぽっちゃり』が『デブ』や『ブタ』になっていじめられて。辛かった。学校に行かなくなった」

 そうか。理由はトラウマか。太っている、ただそれだけでイジメの対象になる。そして、加減を知らないからエスカレートする。原因を無くせば良いと思うが、それは次のイジメの理由になる。まあ、ジュンは痩せて次のイジメには繋がらなかったみたいだけど。

「殴られたりするのが嫌だから、合気道を習って。運動してたら痩せた。また可愛いって言われるようになって、僕は認められた。可愛いことでもいじめられたけど、味方ができてイジメはなくなった」

 声が震えていた。泣いているのか。自分のトラウマを話すのは辛いだろう。でも、向き合わないといけない。今、戦っているのはそういうことだ。

 鞄から携帯を出し、操作した。

「それなのに、また。声が擦れて、可愛い僕はいなくなった!」

「声だけだろ?」

 否定するように言えば、ジュンは目を隠していた腕を退けて睨んだ。涙が残る目に、携帯の画面を向けた。

 画面には、可愛いを意識して笑った汐里の写真がある。

「俺の幼馴染み。可愛いだろ?」

「……うん」

「で、そいつの声がコレ」

 留守録に残っていた音声を再生した。

『明日の朝は先に行くから、学校で渡すね』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ