10 これからのこと
向けられた手を握り、無理矢理握手した。あの約束をもう一度。よろしくと言った、あの時を。
ケータは困ったように笑った後、握る手に力を込めた。
「わかった。4回勝った後な」
繋いだ手を軽く振り、離した。これでこの話はもう終わりだ。協力する前提で話さないと、同じ心配を繰り返すことになる。
俺がいなくなる心配はしても良いけど。俺のことを完全に信用してもらうわけにはいかない。裏切ることはないけど、いなくなることは可能性としてはある。俺は、自分が大切じゃないから。
「さて、実際戦闘するのに、クリーガーってどうやって探すんだ?」
「時計が反応するのは半径20メートル以内にクリーガーがいるときだ。その範囲の誰がクリーガーかわかりにくい。ネットのコミュニティとかで場所指定しているのもあるけど、あれはな」
「ネットにそんなのがあったのか。クリーガーって都市伝説じゃなかったのか?」
「身体能力が上がるってことだけが都市伝説だ。戦闘や、その理由は噂にはなっていない。情報操作してるんだろ」
確かに、汐里は戦闘のことは言っていなかった。だからこそ、研究所の人のキャッチに引っかかったわけだけど。あのまま研究所に行かなかったら、戦闘に参加することはなく、クリーガーになることはなかったんだろう。クリーガーに覚醒しても、戦闘に参加しなければ今後一切クリーガーになることはない。条件を摂取してもクリーガーになることはできない。
そして、戦闘に参加するのも、止めるのも自由だ。腕時計を返せばそれで終わる。目的を達成したら棄権すればいい。戦闘に参加している人は、誰もこの戦闘のことを話したりはしないんだ。俺だって、誰かに言うつもりはない。汐里だって、言うことはないだろう。
「ネットは危険だ。相手の情報がなく、不利だからな。時計が反応することは結構あるから、地道に探すか」
「相手の時計も反応しているから、周りを見回す奴を探すとか?」
「そうだ。こっちもわかりやすく反応してやるか。相手が屈強そうじゃなければ」
確かに、なるべく屈強な相手とは戦いたくない。身体能力が上がるのはどちらも同じだから、元から高いとその分不利になる。今までそういう相手と戦ったことがあるけど、戦い慣れている奴だと苦戦した。武器がない分、対策はしやすいか。
「そういえば、お前は何か格闘技でもやっているのか?」
「中学まで空手を。汐里に付き合ってやっていたんだ。フルコンタクト空手、実践空手と言った方がわかりやすいか」
「彼女と一緒に? すごいな。彼女は守られるタイプじゃないのか」
「あーあいつは自分の身は自分で守るタイプだ。彼氏を守りたいから、っていうのが理由だったし」
「は? お前が彼氏じゃないのか?」




