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エンディングの問題

エンディングの問題


 オレは手帳を見ながら思った。この分なら、締切の少し前には書きあがるだろう。問題はいつでも作家時自身だ。この場合は春男とのことを指す。

「気になることがあるんだけど。」

春男が言い出す。

「なんだ?」

「あんまり、長編は書いていないけど、たとえば、長編を書いている途中で、なにかあったら、どうなるんだい?」

「ん?それは春男自身になにかあるってことか?」

「そう。」

「なんだ、健康面に問題でも出てきたのか?」

 春男はふるふると首を振った。

「全然。」

 オレはほっとした。たとえ、そんなに売れていなくても作家だ。なにかあっては、一応、困る。正直なところ、健康面が一番心配なのだ。

「そうだなぁ。基本的には打切りだけど……。」

「打ち切りかぁ……ってことは、最後まで最終回がわからないってことだね?」

「まぁ、そうだな。あとは、仲が良かった作家や仲間達が続きを書くとかもあるな。めったにないが。ま、いきなり対応するは無理だろうけど、話を聞いていたとかなら、そういうこともありうるわな。」

「そうかぁ。」

 なにやら、春男は考え込んでいる。なぜかこういうときだけは、オレも勘が鋭い。勘か慣れかは気にしない。

「できねぇぞ。」

「なにがだい?」

 春男が顔を上げた。

「最後の部分を書くのが面倒だから、今、オレに書かせようとか思ってなかったか?」

「……ちょっと。」

 やっぱり…と思いつつ、オレは言った。

「少なくとも、オレはできねぇからな。」

「なんでさー。」

「お前の話は独特の世界を持っているんだよ。いくら、話を聞いたからって、書けるもんじゃねぇっつーの。」

「そうなの?」

 オレはがっくりときた。いや、まさか本当にオレに書かせることをちょっとでも考えていたことにだ。春男は、あきらめたのかまたパソコンで打ち始めた。

 春男の作品は、そんなに独創的でも誰にでもかけない物語、ということはない。そんなのはほんのゴマ一粒くらいの人間だけだ。だからといって甘えさせる気もない。

「しっかり書けよー。」

 編集者は、甘いだけでは務まらないのだ。オレは再び手帳に目を戻した。それにしても長編を書かせてもいいものか、迷いどころだ。


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