カバーの裏側
カバーの裏側
「ん~」
なにやら春男が唸っている。
「なんだ?」
「ん?なにが?」
春男はきょとんとした顔をこっちに向けた。
「なんか唸っていたから…なんだ、その本。」
「ああ、これ?漫画。友人に買わされた。」
「買わされた?なんだってまた…。」
「さぁ?アシスタントでもやっているのかも。」
「かも?漫画家か?」
「さぁ?なにやっているのかあんまり良く知らないんだよねぇ…。」
オレはため息をつく。こいつに誰か職業を教えてやれるような友人はいないのだろうか。それとも友人のほうもどうせ忘れるだろうと言わないのだろうか。
「で?なにを唸っていたんだ?」
「いや、これさぁ、本とカバーの間にも漫画があるなぁと思って。」
春男はなにから目を輝かせている。オレは先手を打った。
「無理!」
「なにが?」
「お前、本でそれやりたいなぁとか思っているんだろ。」
「うーん…。」
「あれ?違うのか?」
「いや、最初はさ、そう思ったんだけど、漫画とか絵ならいいかもしれないけど文字だと見ないかなぁと思って。」
珍しく春男が正論を言っている。気が付いただけでも進歩といえよう。
「まぁ、そうだな。」
「うーん……嘘のラストとかどうかな?」
「まて。先に本編を読まないと嘘ってわからないだろうが。最後にそこを見るとは限らないだろうが。」
「ああ、そうか…じゃ本編を…。」
「嘘にして、どうするんだ!みんなが気がつくわけじゃないんだぞ。」
「そうだなぁ…うーん…。」
「春男。」
「なに?」
「悩んでもやらないからな。」
「ダメ?」
「もっと売れたらできるかもな。」
「そーかぁ…もうちょっと売れる本書こうかなぁ…。」
それを聞いた途端にオレはガックリときた。いままでのはなんだったというのか!
かなり真面目な顔をして悩んでいる春男に珍しく殺意が生まれた。あとがきならまだしも、カバーの後ろにコメント。しかし、個人的にはちょっとそれもいいかもしれないと思っている。




