核命花 プロローグ
西暦2354年、世界の技術は現代よりも進化し、非道となった。世界は争いに満ちていた。進歩した技術による水面下でのデータ戦争、荒廃した大地で行われる古代的な空襲、核爆撃、敵勢力の女、子供の拉致、監禁、奴隷化。何もかもが許される混沌とした世界だった。
俺はそんな世界に嫌気がさしていた。俺だって最初は平穏に暮らしてたんだ。いや、平穏とは言えないか。7才の時、家族は襲撃によって皆殺しにされた。俺は当時安全圏だった田舎の親戚に引き取られた。そこで俺は14の歳まで育った。
13の時に、親戚の土地も安全圏では無くなった。国が全面的に敵対行動を取ったのだ。
都市圏のみ襲撃されていた、危険地帯だったのが、当国全土に渡って危険地帯になってしまった。信じられなかったよ。俺だけは生き残ったんだ。運がとことん良かったんだ。家族が皆殺しにされた時と同じように俺だけ遠出していた。
俺は小さい頃から散歩、旅が好きだった。戦争で枯れ果てたつまらない土地に対し、考え、面白さを見出すことが楽しかった。
家族が殺された後も、親戚たちのお陰で半年程度で立ち直れたんだ。それで、よく遠くまで歩いて行っていた。宛もなく、ただ1人で。
野生の動物も勿論出てくるさ、荒れ果てた大地とは言え、生物もそれに合わせ進化を遂げた。人間だって、混血が生まれたり、進化を遂げた。
多少は力も付いている。その辺の猛獣1頭程度なら無傷で狩れるさ。群れだと厳しいけどな。
話が逸れたな。
ここまで当国が被害を受けている訳だ、相手は相当な大国だと思うだろう?だが、それは全くの見当違いだ。
相手はたった数人の集団だ。それも当国の。
数人の集団相手に、1つの国が動いている。異常な事だ。
そいつらの話は俺も聞いた事がある。2200年頃から現れたという謎の集団だ。子どもを寝かしつけるのに使われたりもしていたな。
"博士"、"医者"、"盗人"、"助手"、"狂戦士"、"探偵"、"天使"の7人の名前は俺は聞いたことがある。
おそらくそれで全員なのだろう。
博士はずっと、主軸となって蹂躙を繰り広げてきた。犠牲になった人々は数知れない。俺の家族親戚を殺したのもコイツだ。
狂戦士、盗人も同様だ。単独で数万の敵兵と渡り合うというわけの分からない連中だ。
探偵と医者は死んだ。探偵は70年前に別の強国によって殺され、医者は寿命によって尽きた。
天使だけは例外で、2300年頃に突如として現れたとされているな、現在は行方不明だ。見た目は白髪の少年で、背に対六枚の翼を持つとされている。
助手は天使を"生み出した"とされている。彼はその天使に殺されている。飼い犬に手でも噛まれたんだろ。
と、まぁこれは唯の始まりのお話だ。
最後まで読んで頂きありがとうございます
本編もどうぞお楽しみください