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第1章 - 回顧と憎悪

男は、男の周辺に水滴のような、

水の粒の物体(10cmくらいの球状)が

いくつも存在する空間に漂っていた。


フワフワと、その空間に存在するだけの

時間が過ぎていく。

 ―――――――うぅん〜〜………。


仕方がないので、

男が、一つの水の粒に触れると、

"パチンッ"と音がなり弾けた。

しかも、周辺の水の粒もその影響で弾ける。


―――すると、男の頭にナニかが

流れ込んでくる感じがした。


「ぐぅぅ、な、なんだぁ………ッ。」


右手で頭を押さえながら、男はそう声を発した。


―――そして、

目の前で鮮明な映像を見ているような体験が、

―――――始まる。


●  ●  ●  ●  ●  ●


ドーム型の屋外施設にて、

少年が一人、魔法の練習中、

青年が声を掛けてきた。

「おい、チビデブ!

 魔法が使えるからって、

 調子にのるなよなぁ、コォラァ!!

 年上に会ったら、まずは、

 敬った挨拶をするんだよ!

 無視してんじゃねぇぞ!!」


青年が少年に対して、

そのように言い放つ。

そして、何故か持っていた石を

少年に投げつける。

投げられた石は、少年の左足に当たる。

「ぐぅッ…」


青年は少年を一瞥し、

「ちゃんと年下らしく行動しとけ!!」

そう怒鳴りつけて、

満足した顔で、

去って行く。


●  ●  ●  ●  ●  ●


「男爵家の令嬢の皆さんは、

 あの者と会話をしたことが

 ありますか?」


「「「「御座いません!!」」」」


「あのようなモノと会話をするわけが

 ないですよ。殿下。」

「そんなものかい?

 男爵家の従者くん。」

「そんなものです。

 会話をしたら、

 チビデブの臭い嫌なニオイが

 伝染してしまいますよ。」

「そうです。

 あのようなモノと会話をしたら、

 こちらに不潔が移ってしまいます。

 しかも本人は、自身が臭い匂いを

 発しているなんて気がついていない

 から、罪深いです。」

「あははははっ。

 おっと、失礼。―――でも、

 ㇰッㇰッㇰッㇰッ、あ〜、

 そうですか、そうですか。

 今日は皆さんの、あのモノに対する

 正直で率直な思いを聞けて、

 大変よかったです。

 有意義な時間を過ごす事が

 出来ましたよ。

 ―――いや〜、

 愉快な気持ちになりました。ハハハッ。

 今宵は、ありがとうございました。」

 ・・・・・

 ・・・・・

 ・・・・・


「おいっ!

 ちょっと前の貴族の集会で、

 こんな出来事があったんだ。

 ちょうど、マジックアイテムを持っていたから、

 記録しておいたんだ!

 お前のことを話題にしていたからな!

 ――でぇぇ、なぁぁ、コレ見てどう思ったぁ?

 なぁ? なぁ?」

「―――えぇ…。―――どうって………。」


「―――はぁあ?

 なんだよ、その返事はッ!!

 ―――相変わらず、

 つまんねぇ奴だなぁあ!!」


そう言うと、

マジックアイテムを持っている少年は、

マジックアイテムの記録データを

先程まで見ていた少年の昼食用のパンなどを奪う。

「へへッ。

 マジックアイテム使用料金ってことで、

 貰っていくぜぇえ~。


 ―――チェッ。クソつまんねぇ奴だなぁ!

 あぁ〜あ、クソつまんねぇえ。

 いつも通り、クソつまんねぇえ!

 クソつまんねぇ奴だぜ!!!」


そう大きな声で吐き捨てながら、

マジックアイテムを持った少年は、

シュンッ…としている少年

(クソつまんねぇ奴らしい少年)から離れて行く。


●  ●  ●  ●  ●  ●


ドゴッ!!!

「くぅぅ~ッ。」

少年はその場に膝を付く。


「なんだよ~。この程度の蹴りで

 ギブアップするなよなぁ〜。

 紙みたいな耐久力だなぁ~。

 天才少年だったのになぁ〜。」


「ヒューッ。ヒューッ。ヒューッ。」

青年の蹴りを胸元に受け、

少年は必死に空気を肺に取り込もうと、

意識的に呼吸をしようと足掻いている。

呼吸出来ずにいるため、

なりふり構っていられないのである。


「なんだよぉ~。

 クソつまんねぇ~なぁ!!

 まったくっ。

 ―――――この場所を使う次の利用者の

 邪魔になるだろぉお!!」

青年はそう言い放って、

少年をまた蹴るフリをする。

―――そして、少年はビクつく

(条件反射の行動である)。


青年は、少年をビビらせたことに満足したのか、

ニタニタしながら、

「邪魔なんだよ! どけッ!!」

と言い放ち、

四つん這い状態で片手を胸に押し当てて、

苦しそうにしている少年を両手で押し退けて、

少年が地面に横倒れになるのを横目で見ながら

去って行く。


●  ●  ●  ●  ●  ●


「すいません………。

 ―――また発動しませんでした………。」

そう、少年は悔しそうに発言する。


「まったく!

 この程度の魔法もまだ取得出来ないなんて。

 ―――あなた、年齢詐称してるでしょ?

 見た目通りの子供なんじゃないかしらぁあ。

 ふふふっ。

 ―――魔法の才能が無いのよねぇ〜。」


「「まったくだな!」」

「我らの貴重な時間をムダにさせるとは。

 あなたのおっしゃる通り、

 そのようになりますな!」

「クラスの平均値を大きく下回る実力の愚か者は、

 自覚が必要ですな!

 我らに魔法を教わる資格は無いと!」


「なんて嘆かわしいのかしらぁ〜。ふふふっ。」


と、若い女性一人と男性二人が会話している。


若い女性一人と男性二人の近くにいた

初老の男が会話に加わり、


「いやいや、才能の有無ではない。

 ―――気合いが、入っていないからだ!

 オマエ、こっちを向けッ!!!」

そう言い終わると、

初老の男が少年に近づき、

少年の左頬を平手打ちする。

"バヂンッ!!!"


その光景を

ふふふっ、クスクス、クックックッ

などと笑いながら、

先程「まったく(まったくだな)!」と

会話をしていた

若い女性一人と男性二人が、見ている。


●  ●  ●  ●  ●  ●


「おい、来たぞ! アイツだ。」

「皆に伝えておけ!

 『ぜってぇ、パーティーにメンバーとして

  入れんじゃねぇぞ!!』

 てな!」

「あと、『絶対にアイツと喋るんじゃねぇぞ!』

 て、追加だ。」

「オレたちは、

 ここで有意義に過ごすことが目的だからな!

 関わったら周りがうるせぇクソとは、

 付き合ってられないぜ!」


少年少女達が声を抑えながら会話している。


統率者らしい男性が告げる。

「はーい、ここで、タイムアップです!

 今、残っている人は、前に来てください。」


少年がトボトボと前に進んでいく。


「それじゃ、パーティーに入れなかった人達の

 ダンジョン研修は、皆と違う、

 攻略が比較的簡単な低階層となります。

 よろしいですね!」


少年は恥ずかしそうに

(顔は紅潮している)

下を向き続けている。


●  ●  ●  ●  ●  ●


少女が少年の胸ぐらをつかみながら、

叫ぶ。


「お情けで私達のパーティーに入れたのに、

 ちゃんと魔法使いなさいよ!

 私達をバカにしているんじゃないでしょうね!」

「―――えぇえッ……。

 ―――いや、そんなつもりは………。」

「なにッ!!!

 身長といっしょで声が小さくて、

 私達に聞こえないんだけど!!

 はっきり喋りなさいよッ!!!」

「――――――ッ。」

「―――もぉおう、金輪際ぃッ、私達にぃッ、

 関わらないでよねッ!!

 この役立たずッ!!!」


少年の胸ぐらを掴んでいた少女は、

そう言い放つと、少年を突き飛ばす。

"ドサッ!"


「………ゥッ。」

少年は地面に倒れ込む。


●  ●  ●  ●  ●  ●


―――――男は、頭に流れ込んでくる映像が

ストップしたので、考えに拭ける。

―――そして、


 登場人物たちは、どれもクソだなッ!

 オレだったら………、

 腸が煮えくり返る思いなんで………、

 こんな奴ら…、ひどい目に遭わせて…、

 それはもう悲惨な状態にッ………。

 

怒りがふつふつと湧いてきていた。


⇨男に怒りの炎が灯った瞬間であった。



〜  〜  〜  〜  〜  〜  〜  〜



瀕死の状態の少年は、

意識が覚醒し、目を開け、

キョロキョロと周辺を確認していた。


 身体の感覚が無いし………、

 薄暗くて…、ここがどこなのか………、

 わからないなぁ………。


少年がそのように、状況確認していた時、


キーーーーン


突如、耳鳴りが始まる。


 うぅうッ、

 耳鳴りが凄いし………、

 後頭部と首の後ろ辺りに、

 ゾクッゾクッゾクーッと、

 とても気持ち悪い感覚があるし………、

 なんなんだよぉ………。


少年が戸惑っていると、

後頭部と首の後ろ辺りに、

攣ってしまったような

ピキーーーンッとした感覚や

凄く酸っぱいものを食べた時のような

ツゥーーンとした何とも例えようがない

感覚も起こった。


そして、意識を失っていく。


✿  ✿  ✿  ✿  ✿  ✿


「何、始業時間から、

 仕事始めようとしてんの?

 始業時間には、全部のシステム

 立ち上がっている状態にしておけよ!

 仕事が遅いよ!

 普通の人間は、

 最低3つの仕事を同時に対応出来るんだから、

 オレの言った通りに仕事してよ!」

「………(何言ってんだコイツ!)」


✿  ✿  ✿  ✿  ✿  ✿


「ダメ、ダメ、ダメ。

 またこんな回答の仕方じゃダメだよ。

 きちんとケーブルの規格知ってます!

 と表現した回答にしないと。

 相手に、

 『あ〜、この人、ちゃんと分かってるな!』

 て、思わせることもしないとダメだな!

 はい、差し戻しするから、

 再度回答作り直し!」

「………(こいつ何回ダメ出しすれば気が済むんだ?

 オマエの自己満回答に付き合わせるなよ?)」


✿  ✿  ✿  ✿  ✿  ✿


「いつになったら、

 設計仕様が完成するんですか?

 いつまで中途半端に進めていくんですか?

 私も暇じゃないんで、

 設計仕様が完全に決まってから、

 変更依頼出してください。

 はぁ〜っ。

 これだから、

 最近の入ってくるヤツはッ……。」

「………(全体のグループワークを考えろよ。

 テメェひとりの仕事じゃないんだから。

 暫定仕様のこれで進めてくれよ!

 このクソババア!)」


✿  ✿  ✿  ✿  ✿  ✿


「え〜と、全然何言ってるか、

 分からないんだけど?

 しかも、声も小さいし。

 体育会系に近い職場って、

 事前に言ったよね?

 んん〜ッ、精神的に弱いなら、

 サポート窓口もあるから、利用したら!

 精神的に弱い人間ならだけどッ!!」

「………(うわぁ~。典型的なヤツだ!)」


✿  ✿  ✿  ✿  ✿  ✿


「こんな回答で、顧客が納得すると思ってるの?

 なぁ〜?

 しかも、回答期限ギリギリで、

 こんな回答を顧客に出すの?

 えぇ〜ッ、考えられないんだけど?

 時間を考えろよ、時間をよぉ!」

「………(このヤロウ!超ウゼェー!!)」


✿  ✿  ✿  ✿  ✿  ✿


「餅は餅屋だわなぁ〜。

 小学生でも出来る仕事なのに、

 上手く出来ないなんてなぁ〜。

 バカだなぁ〜。」

「………(はぁあ?!)」

「もういいって!

 オマエは帰れ!

 仕事出来ないヤツは、帰れ!

 帰れよ!」

「………(このジジィ、マジうるせぇーッ!)」


✿  ✿  ✿  ✿  ✿  ✿


少年は意識を取り戻すと


 アイツらぁッ、

 ――――――ぜってぇ〜ッ、

 許さねぇからなッ!!!

 このクソ共がーッ!!!


復讐者のような

強烈な、そして、鋭い眼光で

薄暗い部屋の天井を睨んで、

"アイツらぁッ、地獄に堕ちろぉッ!!!"

との強い意志を抱いていた。




少年が在籍する国の暦表では、

2998年10月9日

の出来事になる。


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