ニンカツその二「あの世とこの世の間で女神のテスト」
「痛ててて。あのムキムキマッチョの鬼女め。思いっきり吹っ飛ばしやがって」
「で、どこだ、ここ。周りが靄ばっかりだけど天国か?」
「惜しい。ここはあの世とこの世の間だよ。キミたちに用があってね」
灯夜と紬が振り返ると、そこには。
「痴女だ」「痴女だな」
エロゲかアニメのくノ一コスプレ少女にしか見えない自称神様は、華奢な肩をすくめた。
「それはキミたち人間が、おねーさんに寄せる最近の信仰のせいさ。神様は人の想いで形作られるからね。お陰で女体化されて、おねーさんもすっかりカワイイ女の子だよ」
「お前のような神様がいるか」
「修験者風に盛り上がった胸を飾る暖簾、肌に張りつく鎖帷子、褌に脚絆、おまけに顔は垂れ幕で隠して、癖が強すぎだろ!?」
「そう言うキミたちも、忍者に見えないよ? 片や真っ白な忍装束の細マッチョ少年、もう一人は紅い和ロリ振袖スカートが似合う男の娘」
「ぐぬぬ」
「いや待て、どうしてオレたちが忍者だと知ってる?」
「キミたちの大先輩なんだぞ、おねーさんは」
ニヒルな笑いを浮かべたのだろうが、垂れ幕に顔が隠れて見えないし、胸の暖簾が揺れて別のトコロが見えかけた。
ぷにぷにしたい、触ってみたい、そんな邪念をかき立てるおっぱいだ。
「え~と忍者で神様というと、あれだ。ふじ」
「おっと、そこまで。忍者巧者たるおねーさん、名前を隠したい」
「バレバレだけどな」
「えっ? オレわかんねー」
「さてキミたちはダンプに轢かれる代わりに、ムキムキマッチョの鬼娘に吹っ飛ばされてあの世行きになった。でも生き返りのチャンスがある。条件は二つ」
「来たな、異世界転生」
「魔界転生かも。忍者だし」
「いやいや異世界転移だよ。別世界で忍務を終えたら、この世で生き返りだ。これが依頼と報酬。その前に試験を受けてもらうけどね」
「試験?」
「そう。依頼と試験が条件だ。おねーさんの大事なトコロを隠してる、布のどれかをめくれば合格。だからこんな格好なのさ。趣味じゃないよ?」
「どーだか」
顔の垂れ幕、左右の胸の暖簾、ふんどしの前掛け。これをめくるのはスカートめくりより困難で、しかし魅力的なテストだ。
「やらなかったら?」
「もちろんこのまま、あの世行きだよ。さあどうする? 甲賀怪忍『ホワイトシャドウ』くん?」