4話
グラウンドには半径10メートルほどのクレーターができており、その真ん中には人形が見えた。その人型の何かが魔物であると俺は一瞬で理解した。
その人の形をした何かは、昨日の熊とは比べ物にならないオーラを纏っていた。俺は、まだ死にたくないので、魔法少女の到着を待つことにした。
他のクラスメートは、きゃーとか悲鳴を上げながら教室から出て行った。グラウンドには2クラスほどが体育をしていたらしく、40名ほどの姿が確認できた。
俺は絶句した。そのクラスの中には、サッキーとやっちんがいたのだ。その瞬間おれは窓から飛び出した。
体が変な浮遊感に包まれ落ちていく途中で、俺は姿を魔法少女に戻し、手から糸を出し、人形の魔物に引っ付けて、糸を全力で引いた。
おれの体は糸に引っ張られ、ものすごいスピードでグランドの真ん中についた。着地の瞬間おれの足にはかなりの衝撃が伝わってきた。
俺は後ろを振り返り、やっちんとサッキーの方向を見て
「ここは私がなんとかします!皆様は逃げてください!」
そう叫んだ。その瞬間校舎の方に生徒が駆け出した。腰が抜けて、動けなくなっていた数名の生徒は、俺が糸を出し、校舎の前まで糸で送った。
「あなたは魔物ですよね…」
そういい、俺は魔物の方を見た。
魔物は黒い帽子を被り、黒いスーツを来て、不気味な仮面をつけていた。
「はい、魔物ですよ。いやぁびっくりしましたよ。まさかこんな早く駆けつけるなんて。魔法少女が現場に駆けつけるまで、早くでも3分くらいはかかると思っていたのですが…」
そう言いながら楽しそうに話す魔物を見て俺は、違和感を覚えた。俺は魔物はもっと、こう、知性のないものだと思っていたからだ。
「まぁいいですよ、今回の目的は人を殺すことじゃないのでね。」
「じゃあ何が目的なんですか?」
「それは言えないですね、まぁとりあえずあなたを痛めつけることですね。」
そういうと、知性のある魔物は、手の爪が伸びていかにも人を切れそうな刃物に変わった。
危険を感じた俺は真っ先に糸を出し魔物を拘束しようとした。その瞬間おれの糸は切られた。
くそ!俺の一番の攻撃手段が通用しない!
魔物はそのままこちらに向かってくる。そして刺すように手を前に伸ばした。
俺は間一髪のところで避けて、また糸を出して拘束を試みた。しかしまた糸は切られて、こちらに向かってきた。今度はカウンターを仕掛けようと体を少し動かしギリギリで避けながらパンチを繰り出した。
しかし相手はそれを避けて俺の腹を殴った。
「うがぁっ!」
腹部に激痛。おれの体は六メートルほど吹き飛んだ。
「うぅ…あぁ」
息が吸えない。俺は殺されたくないので、身体に力を入れて立ち上がる。どうする。このままじゃ絶対に殺される。
俺が強くなるためにはスキルを使うしかない。俺の戦闘用スキルは操糸しかない。大体の糸系の能力者はアニメだったらめっちゃ強いはずだ。
俺は一か八か、金属の糸を、イメージして攻撃してみることにした。様にピアノ線だ。
二日ほどだらけ散らかしたい。