12話
家に戻ると、妹が仁王立ちで立っていた。
「ユウカどうした?」
靴紐をほどきながらユウカに尋ねると、覚悟を決めたような顔でユウカは口を開く。
「お兄ちゃん。私に料理を教えて!!」
「いいけどどうしたんだ?急に」
「お兄ちゃんは、魔法少女になりました!ということは前よりも時間がないということです。だから、私が今日から料理を作る!」
我が妹が急に成長したように感じ、俺は目の奥がジーンとあつくなるのを感じた。
「了解!じゃあ基礎からビシッと教えてやるぜ!」
「うん!よろしく!」
俺が実践しながら教える形式でやってみたが、うちの妹は覚えが早い。これから近々一人でご飯支度お願いしても良くなりそうだ。食事を終え、俺たちは眠りつく。
ピロロ。
スマホの通知が鳴る。飛び起きて画面を確認するとメールが届いている。
アリス こんな時間に申し訳ないんだけど電波塔の上に来てもらっていいかな?大切な話があるんだ。
夜霧 いいですよ。
俺は変身し、窓から外へ出る。ここから電波塔までは徒歩で40分ほどかかるんだが、魔法少女になれば数分で着く。
電波塔の上につくと、アリスと、アオイがいた。
アリス「あ!夜霧ちゃんキタキタ!」
アオイ「夜霧ちゃんこんばんは」
夜霧「こんばんわぁ。」
ニコニコとしているアリスと、少しソワソワしているアオイ二人は仲が良いようなのだが、性格は正反対な気がする。
アリス「今回夜霧ちゃんに来てもらったのはね。ある話をするためなんだよ。」
夜霧「ある話?」
こんな、つい最近でただの学生だった俺に何の用があるというのか…。
アリス「うん、あの喋ることができていた魔物の話。」
そういうアリスの顔はすごく真剣だ。となりのアオイも頷きながら話を聞いている。
アリス「実は最近ね、魔物の動きが活発になっているんだけど、その原因があいつみたいに喋る魔物らしいんだ。」
俺も学校のグラウンドで会うまでは喋ることができる魔物は知らなかった。一般に出回っている中ではそんな話は聞いたことがなかった。
夜霧「あいつらって一体なんなんですかね?」
アオイ「三ヶ月ほど前に、初めて現れたんだけど前のやつとは別のものだった。喋り方ももっと暴力的だった。」
てことは喋る魔物は少なくとも二体はいるっていうことだな。
アリス「正直、奴らのことはあまりわかっていない。魔法少女界のトップもこのことは一部の魔法少女にしか、知らせていない。」
夜霧「なぜ野良の私に教えてくれるんですか??」
アリス「夜霧ちゃんは、野良だけどあいつと一度戦っているし、ここ数日で魔法少女になってここまでの力を発揮できているから、素質もかなり高いと思うの。だから何かあったときは手伝って欲しいんだ。今日はそのことを伝えたくて呼んだの。」
夜霧「わかりました。私でよければ力をお貸しします。」
アリス「やった!じゃあこれからよろしくね!」
アリスとアオイは手を振り電波塔を飛び降り、そのまま遠くへと消えていった。
夜霧「俺も帰るか。」
時計を見ると時間は深夜1時過ぎ。明日は学校があるからなぁ。早く帰って寝よう。
おひさです
ひっそりと投稿(´∀`)