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「お嬢様、私も連れていってくださいませ。」
荷物をまとめて出ていこうとした時に、後ろから聞きなれた声が聞こえてきた。
「カリナ…どうしたの?」
私の専属侍女のカリナ。
彼女は侯爵家にいる時からずっと私の傍にいてれて、王宮へ移るとなった時も自分から手をあげて一緒に着いてきてくれた。
「お嬢様が王宮を去るということを薄々感じておりました。私はお嬢様に仕えている身、どこまでもお嬢様に着いていきます。」
「でもカリナ、私はあなたを…「お嬢様がいなくなったとなれば、専属で仕えております私の責任となります。お嬢様は王妃になられるお方、そのような高貴な方がいなくなったとなれば私の命が何個あってもたりません。」
そこまで言われると何も返せない。
カリナが私のせいで死んでしまうなど、あってはならないことだ。
本当はカリナに迷惑をかけたくなくて、断ろうと思ったのだけど…
彼女の命がかかっているのであれば、置いていくなんてことはしたくない。
ごめんなさい、カリナ。
これからも迷惑をかけてしまうかもですが、どうかよろしくお願いしますね。
※※※※※※
まずは、王都から離れなくてはいけない。
どこで暮らそうか…
シャルル領へいくとなれば、きっと民たちは快く迎えてくれるだろうが、父へも居場所がバレてしまう。
どんな理由であれ、なにも言わずに(手紙は書いたけど…)一方的に王都を出てしまったのだ。
また王宮に戻されては、殿下と恋人の邪魔になってしまうではないか…
これは避けたいものである。
カリナと話し合った結果、最初に私たちはタウリヤ領へ向うことにしたのだった。
タウリヤ領は、タウリヤ伯爵家がまとめている領地である。
小さな領地とはいえ、ウェルズ王国の中でも上位に入るほどの豊かな領地だ。
(今日からもう侯爵令嬢じゃなくなるのね、なんだか不思議な気分だわ。)
私はドキドキを胸に、タウリヤ領へ向う馬車の中から1人外の景色を覗くのだった。
※タウリヤ領地とは、登場人物紹介の下の方にもありました青色の領地です。(黄色の1つ下の場所)