素人は足を使え4
ブレッド・ティラミスの場合。
「ブレッド君、ちょっと聞きたいことが……」
「俺は知らねェぞ」
廊下で見つけたブレッド・ティラミスの背中に声をかけるキプツェル。しかし終わりまで言い終わらないうちに即答され面食らう。
「まだ何も言ってないんですけど」
「宝くじの入った博士のシュミ悪い色した封筒だろ。ブラウニーに聞いた」
「情報早いな」
「シュミ悪いは余計だ」
唇を尖らせる博士に苦笑を返すブレッド。彼はまず博士にこう言い、次にキプツェルの方を見た。
「パンナコッタなんかも知ってるっスよ。まぁ封筒は知らないって言ってたけどな」
「そっかあ……」
「まぁそのうち見つかるさ。気を落とさずに頑張れ」
ブレッドはキプツェルの肩をバシバシと叩いた。キプツェルは少し笑顔を歪める。
「では、私達は行くか。なぁキプツェル君」
「そうですね。次を当たらないと」
二人の様子を見ていたブレッドは、くわえていたタバコをつまみ煙を吐いてから言う。
「マカロンも苦労してんなぁ。博士の我が儘に付き合って」
「は、ははは。もう慣れたよ」
キプツェルは乾いた笑い声を返した。今回ばかりはキプツェルも私欲で動いている。三千万が手に入るか入らないかの瀬戸際なのだ。
「そっか。んじゃ俺も行くわ。博士もちゃんと仕事してくださいよ」
「私の脳は常に働いているぞ!」
ブレッドはタバコをくわえたまま器用に笑いながら、背中を向けて手を振った。去って行くブレッドをしばらく見送り、博士とキプツェルは顔を見合わす。
「じゃあ、次行くか……」
「そうですね……」
呟くようにそう言葉を交わすと、二人は次の聞き込み相手を探しに向かった。




