表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水と魚と花  作者: 維酉
2/3

目に触れると濡れる

手に触れる

水温を感じる

いま水温を感じる

一カラットの涙が零れ

水流になる

わたしはいま水温を感じながら

その水流に溺れる


めいめいの魚の

横腹 銀に濡れている

掬いあげた魚の光沢

それは鱗であるが

それは鱗ではない


目に触れると濡れる

手に触れると冷徹を感じる

凍らない 流れもしない

感情のさめざめたる鱗


いま

水温を感じる

地下深くでうねる熱の無意味さを

表すような

水温

わたしは鱗に触れて

その冷たさを知る

わたしは鱗に触れる

それが鱗ではなくとも

わたしは触れる


水流に呑まれるような

わたしという儚さである

川の水を両手で掬いあげるとき

わたしの両手は水流に呑まれ

皮膚は水に溶け込む

わたしは魚である

しかし魚ではない

わたしは触れる

水流の温度を知る

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ