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異能部  作者: KAINE
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異能部の日常その8の2

 「そういう事ではなく、もっと具体的にお願いします」

 「具体的なぁ、主観的になら話せるが難しい注文だ、まぁうちの後輩にも釘刺されてるし真面目に答えよう」

 「雨の日は憂鬱だなんて詩的な表現は古今東西で当たり前の様に出てくる一文だが、雨だから洗濯物を干せないだとか、髪がクシャクシャになるだとか、外で遊べないだとか、そんな負の要素が詰まってメランコリックに浸るために吐露するのかもしれねぇな」

 「あるいは自律神経だとか脳の一部やホルモンバランスに何かしらの影響があってそうなるのか、だが声を大にして言おう、雨だから憂鬱なのではない気圧が低いから憂鬱になるのだと、1気圧より高くなるだけで人はダウナーになり世界を呪うようになるのだと」

 「統計なんて知らないがきっと低気圧の日は自殺者が多いはずだど信奉してこれまでの人生を過ごしてきた、5才からだからもはや半分以上の期間をな」

 「異能が発現したその日から今日まで、そして今から死ぬまで、親父譲りの髪の毛が纏まらないのが嫌で何度も続いてパブロフの犬的に嫌になったか、そんな理由ではない、何せ目覚めたその日は夏休みの真っ最中だってのに気の早い台風、それも馬鹿デカイのが上空を通過していて、朝からゲームしてたら天啓が落ちるかの様に自分に異能が備わったと知り、秒で家の中の動きまで掌握して、途端にやる気とか生気とかが零に近付いた」

 「せっかく苦労して後一歩まで追い詰めたボスにボコボコにやられる主人公を逃がす気力すらなく、母親に父親に母の中の妹の動き、今でもおぞましくて仕方がないが壁だとか床の裏に潜む黒き侵入者共にと、人生で最悪の日を何か言ってみろと問われればあの日と菜慈美に毒キノコ食わされて余りの苦しさに自分で首へし折った日を上げるくらいには最悪の日だったな」

 「なんとか動ける様になってからとりあえず台風を力業で散らして、障壁で侵入経路を絶った上で両親を説き伏せて殺虫剤撒いて貰い、親父が掃除で地獄見たという間、母方の祖父母の家に居候して、ようやく落ち着いて異能の検証が可能になったのは半年は過ぎてたしその頃には菜慈美も異能発現して物凄い勢いで引かれて、あれが人生の転機で無いならば次点のアレと出会った日となる」

 「名無しの権兵衛、ミスターミセスエックス、ジョン・ジェーン・ドゥ、端的に世界最強の精神系異能者、俺でさえ存在を認識はできても男か女か年齢も国籍も人種も解らない友人、まぁ記憶を毎度毎度消しているからだが、俺が今も世界を壊していない最大の理由で最強のストッパー、逆にアレが自殺しないための最大最強のストッパーが俺になるが、ただ悲しいかな単純な出会いと言えばそれまでで、やはりあの日が俺の人生を決めた日だろう」

 「さて、なんだったか、あぁ、俺のルーツか、まぁ俺のルーツなんぞこんなもんだ、ただ安心しろ、俺は世界を壊さないし手中に納めるなんて面倒も考えない、さっき言ったようにただの女好きな高校生だよ、そしてきっと一月以内にそれ以外は記憶から無くなるが無くなった事すら気付かん、日記のページが欠けていようがボイスレコーダーや携帯のメモリが不自然に減ってようが認識すらできなくなる、残念だがアレの事を知った以上は友人の可愛い後輩とて目溢しは無理なんでな、俺は別にどうでも良いがアレはそういうのには五月蝿いんだ」

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