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異能部  作者: KAINE
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ワイドショーの日常

 「端的に言って、相当にマズイ状況でしょう、食料がどれだけ持つのか、水は、病気や怪我はどうするのか、愉快犯的な犯行ですがこんな事をしたら他の異能者がどんな目で見られるのか考えていない、当然直接的な被害者の事を考えている筈もない、自己中心的な犯行と言えるでしょう」

 「関係者の話ですと軍を動かして食料や人員薬品の投下を試してはいるが透明な壁に阻まれてなす術がない、早急に犯人かそれ以上の力を持つ異能者が救助をしないと死人が一人二人では済まなくなるでしょうね」

 「やはり異能でないとどうにもなりませんか?」

 「少なくとも上空300m近い高度だと重機の類いで引き摺り下ろすというのは現実的ではないですし仮に地面まで下ろせたとして、壁が消えなければ人も物も行き来できませんからね、八方塞がりでしょう」

 「ここで、お電話が繋がってます、異能者として会社を起こしているOGAco社長男鹿さん」

 「はいもしもし男鹿です」

 「男鹿さん、今回のアメリカの事件ですがどう見てますか?」

 「どうと言われても現実味は無いなとしか、酷いと思われても仕方がないですが対岸の火事より現実味がないんで」

 「なるほど、では男鹿さんの異能なら救助は可能でしょうか?」

 「可能か不可能かで言えば可能ですね、非常に政治的な判断も絡むと思うのでやる気は無いですが、と言うか同じ事をやって見せろと言われれば可能な立場でも有るんで犯人候補の一人としてしか見てくれないでしょう、仮に怨恨として、まぁ私なら町を地面と中に浮かすなんて面倒はしないで隕石でも落として更地に変えますが」

 「要請は断ると」

 「少なくともロハじゃお断りですね、人命だなんだって言われても聞いた話だと異能排斥派が集まった町らしいですし、救ったところで後ろ指指されるんじゃやってられない、拝金主義でもなんでも言ってくれて結構ですが面倒に関わりたくないってのは誰だって思うでしょう? 私は正義の味方でも悪の手先でもないですが面倒の敵は自覚してるんで」

 「では、資金があれば受けると」

 「いや、条件付きでしょうね、その場合税金とかになるでしょうし名前出されたりすると宇宙開発とか何かしらの安全保持のためにとかと違って悪感情を持つ者も多いでしょうから、最低条件でも名前の公表、金額の詳細、払った払わない、交渉したしない、それら含めて黙秘してってなら考えなくも無いですが、言った様に面倒でしかないんで断るでしょうね」

 「なるほど、では先程、怨恨ならとおっしゃいましたが、何か根拠がありますか」

 「はい、まぁこれも俺が犯人候補の最有力候補の一人な理由ですが、学生時代に彼らのコミュニティに所属する、あるいはしていた二人に襲撃されてますからね、他にも似たような事やってるみたいですし方々で恨み買ってるでしょうから」

 「では、今後どうなると考えていますか?」

 「さて、怨恨なら根深ければこのまま愉快犯なら弱りきってから解除するかもって所ですかね、後は俺以外で万トン単位動かせる念動力者に頼むか、まぁあの壁が俺が使ってるのと完全に同質なら俺以外でどうにかできる奴は居ないでしょうがその場合はほぼ犯人俺ですしね、いけしゃあしゃあとコメントしてるだけで」

 「それは自白と取られても仕方がないですよ?」

 「アッハッハ、別にどう受け取られようとどうでもいいですよ、異能犯罪なんて証拠残らない筆頭なんで俺が黒だって証拠もなければ白って確証もない、真実は俺しか、まぁ精神系の異能持ちなら知ろうと思えば知れるでしょうが、知ったとしてどうだって話でしょう? 何処かの誰かが俺を指してアイツが犯人ですって言っても名誉毀損でしかない、そして悲しいかな我々異能者はそういうのには慣れっこなんですよ、なので今さら一つや二つ余罪が増えようが疑念が増えようがどうでもいい」

 「私には余人はどうでも良いと言ってるように聞こえるんですが」

 「受け取り方は受け取った側にお任せします、言葉以上の意味は含めていないですがどう受け取るかはソイツの勝手ですから、まぁ変に受け取って襲撃してくる奴も居るかもですが、その時は捕まえて警察に任せますし」

 「それは余りにも身勝手過ぎませんか?」

 「身勝手結構、傲岸不遜唯我独尊、手前勝手の自分勝手、言ったように俺は聖人君子を名乗った覚えはないんで勝手だ悪だと言われても甘んじて受けます、流石に襲撃は面倒なんでゴメンですが」

 「私には襲撃してくれと言っているようにも聞こえるんですが」

 「言った様に面倒でしかないんでまさかですね、殴られるとか石投げられるとか刺される撃たれるなんてのは何度経験しても嫌になる、それが楽しいって言えるのは生粋のマゾヒストか満月の狂人くらいでしょうよ」

 「経験が有るんですか?」

 「何度も何度も何度も何度も、それこそ数えきれないくらいに殴られ蹴られ、石を投げられ刺されて撃たれ、爆発して燃やされて毒を飲んで轢き殺された、俺が不死じゃなかったら今ごろは墓の中で寝てますよ」

 「念のため付け加えると、だからどうでも良いと思えるんでしょうね、どうせ死なないし良いやの精神で受け身になれる、不死の肉体を持つってのは余人に残酷にも優しくもなれる、俺は残酷な方なんでしょう」

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