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異能部  作者: KAINE
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異能部の日常その4

 「で、此処に顔を出したのはどういった御用で? 顔を見に来ただけとも思えませんが」

 お略がそう言うのは目の前のチグハグな男が見た目に反して教育や生徒に対する心配りを欠かさないというのをよく知っているからである。

そもそも異能部は非公認だが彼の預かりであり、例えば脅迫等の手段を用いたのではなく、当時の生徒会では話にならないと直談判に行ってその話し合いで人と成りの一部だが知っているのとその他幾つかの逸話を知ってこそだ。


 「あぁ、ちょっと気になってな、3年して聞く事でも無いけど聞こう聞こう思てて聞いたら悪いか思てな、まぁ良い機会やし聞くけど自分何時も頭剃っとるけどなんか理由有るんか?」

 「あー、まぁ先生はもしかしたら知らないかもですけど、俺実はアフリカ系黒人の、先生の年代ならハーフ、今風ならダブルでして」

 「差別とかや無くボケには全力で突っ込ませて貰うけどそんなもん見たら解るわ、自分地黒ってレベルやないで」

 「やだな先生、天然ジゴロだなんて誉めないで下さいよ」

 「誰がジゴロや言うてん、ジグロやジグロ、地肌が黒いでジグロ、後天然はどっから持ってきてん」

 「いや先生、実は僕夢が有りまして」

 「いきなりなんやねん、まぁ聞いたるわ、夢ってなんや?」

 「板野先生、漫才がしたいです」

 「今まさにやっとるがな」

 「ところで先生大変です」

 「どないしてん急に」

 「オチが無いです」

 「んなもん知るかい、止めさせてもらうわ」


 「三分の一か、ネタ合わせ無しやけど完全に滑っとるな」

 三者三様、最初から板田が紅茶を相伴に来た時から我関せずで読書に没頭する音矢、とんでもないものを見たと目を点にしている深井、腹筋が崩壊する程に笑い続けて呼吸すら怪しい板田、即興による言葉の応酬で三割なら誇って良いがこの場合、単純に板田の笑いの沸点が極めて低いというだけだろう。


 「で、真面目になんでスキンヘッドや」

 「まぁ単純に伸ばすと天パでして、行きすぎるとアフロ化します、んで中学の時に頭のアレな生徒指導が居まして、天パなのにどうにかしろどうにかしろの一点張り、親父から校長に言っても無駄で教育委員会からのお達しも無視、いい加減頭に来たんで剃ったら意外と良くてそれ以来この頭ですね」

 「あっ? なんやソレは、ソイツの名前教えぇ」

一気に雰囲気が変わる、チグハグな、しかし紳士然とした男がヤクザも真っ青なドスを利かせて憤怒に燃えている。


 「とっくの昔に塀の中ですが小山田ですね、覚えてませんか飲酒運転して車から女子生徒の盗撮写真が出た事件、アレの犯人です」

 「ハァー、クズはクズか、然もありなんやな、ワシがなんかせんでも等の昔に懲戒処分とブタ箱入りか、ついでに免許も取り上げたったら良かったんや、どうせ戻っては来れんやろうし塾とか個人家庭教師も無理やろうけど、ソイツが教員名乗れるとか反吐しか出んわ」

 「まぁ、奴の最後の善行は俺にスキンヘッドの良さを遠回りに教えたのと週一で妹が兄の頭剃るって仲睦まじい習慣生んだ事でしょうね、因みに親父はパンチパーマ、妹はカーリーヘアの範疇です、親父の場合は床屋で巻いてるんで地毛はまぁ、俺と似たり寄ったりでしょうが」

 「男鹿教授やったら前にクイズ番組に出とったん見たわ、そんで自分は何時まで腹抱えとんねん、大概なゲラやけど流石に傷口えぐられてる気分やわ」

ずっと笑い続けるという拷問にも近い時間をこの5分だか10分だか過ごしてもはや呼吸が怪しいどころか精神が怪しい、とは言え手立てはない、残念ながら異能部に精神系の能力者は居ないと言うか三人きりの部活で入部していない異能者が居るという事もない、そして一つの学校に三人と言うのは異能者とそうでない者の比率を考えると実はかなり多い、およそ千五百から二千人に一人が大なり小なり異能を持つというのが日本における現状で申告されていないものを予想に入れても大きくズレは無い。

マンモス校とは言えないまでもおおよそ五百人は生徒が居て事務や教員を足して総数は五百五十人といった所だろう、日本の比率の三倍程度、三者三様異なる能力者という点でも異様な数値だ。

少しずつ名前を略して行くスタイル

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