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異能部  作者: KAINE
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西岸高校の日常その4

 火薬の爆ぜる音と匂いと共に6人の若者がスタートダッシュを決める、ぐんぐんと加速しながら次の走者にバトンを渡してゴールテープを切るまで繋がれる想い、紅と白のそれはドンドンと手から手へ人から人へと渡っていく。

 「いやはや、先生方も人が悪い、解っていてこの六組だもんな」

 「まぁ紅白で別れちゃいるがアンカーが誰かなんて子供でも解る、陸上部のエースクラス三人には悪いがトップスリーは我々白が独占させて貰おう、残念ながらそれほど差もないしな」

 「俺は確かに不幸かもしれんが、足に掛けてはこの二人を例外に負ける気は更々ない、紅組に陸上部集めてバランス取ったのかもしれないが、第一走者から頑張ってくれたおかげで第三コーナーで目算で2m足らず、この程度のハンデで俺達に勝てると思うな」


 それは舌戦だ、戦う前に相手の心をへし折るための挨拶代わりの煽り、体育祭最終種目、紅白対抗リレーにおいて、それぞれ三組に別れた両陣で何故だか別れた瞬足の三人、 と板田と竹田、学内でも五指に数えられる者が全員同じ組に所属して、その上でバラけたのだ、アンカーが誰かなんて考えるまでもない。

 一応はトップテン入りの残り七名が紅組に居るがリードが取れなかったのは相当に厳しい、厳しいが諦めない、高々体育祭の一競技、勝った負けたで何が変わるでもないが勝てないと諦めるのは絶対に違う、食らいつけ這いずってでも泥を啜ってでも一矢ではない、千でも万でも矢を放つくらいの気概と気合がなければスタート地点にすら立てない戦いだ。


 バトンがスムーズに渡りアンカーは二週というお約束に対応するためにペースを守る、部活で何度となく走ってきた距離は脳と体がそのペースを覚えている、決して賞品が出る訳でもない、記録が残るでもなく進学に有利という事もない、ただ学内随一という称号をチームメイトと共に手にするだけ、たったそれだけで維持を張る理由としては十分だ、例え自慢にならなくても、意義や意味が無いのだとしても後悔しないためには全力を出しきる。

 数秒遅れて渡ったバトンを握り締めて竹田がコンマ秒差で板田が、さらに一秒待って がスタートする。


 第一第二コーナーを抜けてバックストレート、第三第四コーナーを抜けてホームストレートに到達する頃にはほぼ横並び、それぞれの差が一秒未満にまで減りバックストレートで最下位の がごぼう抜きで首位に立ち、第三コーナーを曲がる直前で板田がその後ろに着く、最後のホームストレートで竹田が三位にまで巻き返し白組がトップスリー独占して次の競技の準備が始まった。

 ムカデ競争やら借り物競争やら、普通リレーが最後の競技じゃないかとも思うが西岸高校の場合、その辺りのお約束は何処か遠くに投げ捨てて久しく、毎年毎度順番も競技もバラバラで去年は会った100m走がないとか、去年まで無かった玉入れがあるとか、教師の気分とテンションで決まる、その上ありがちな練習みたいなのは入退場くらいで後はぶっつけ本番、出場競技くらいは事前に告知されるし班分け組分けも告知されているが後はもう日常的に運動しているかどうかだろう。

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