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異能部  作者: KAINE
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会社の日常その4

 「凄ぇ」

 先程からソレしか出ない、小さな窓から見える、大抵の者が映像でしか見た事がない地球、大抵の者が映像でしか見た事がない宇宙、そして重力から解放された世界、圧倒的なまでの非日常。

そこに至るには金を大量に積むか、勉学に励み、訓練を積むしかない、朝起きてそのまま歩いて行ける場所ではない。果て無き世界の一端でも、そこに触れるという体験は、間違いなく特別な体験だ。


 「ヤベェ、撮影忘れるとこだった、企画企画」

 「時間はまだ1時間半はある、詰め込めばなんとかなる」

 「んじゃ、ここ編集点ね」

 「はい、と言う訳で今我々は宇宙に居ます、今回は誇大広告なら訴える、マジなら企画するって流れでしたがマジに宇宙です、見えますか? 地球と、此方は宇宙、そしてー、無重力」

 「えー、ではまず、無重力で炭酸水飲んでみるー」

 次々と手を変え品を変えながら検証を行い時にテンション高く、時に真面目にリーダーを筆頭に動き回ってはしゃぎ回る、視聴者がそれを追体験できるように、或いは再生数を稼ぐためという拝金的な理由かもしれないが、少なくとも営業してから初となる貸し切り客は通常コースでは不可能な飲食や、天井や壁を蹴っての三次元移動等々、思い付く限りで好き勝手に動き回り、それらをカメラに納めていく、全国的にはまだまだでも千葉県内では有数の動画投稿者は自身が知ってか知らずかおそらく世界初の宇宙遊泳をした動画投稿者となる、もしかしたら通常コースで静かに撮影していた者もいるかもしれないが、表だって貸し切りコースを利用した客が初めてな以上は好き勝手に撮影して様々な事に挑戦するという点では初だろう。


 「そろそろお時間となります、手すりに掴まって体を固定してください、また急に体が重く感じる等の症状が出る場合がありますが一時的なのでご安心下さい、地上までは約50分程度を予定しております、尚、下降に際しては重力の反転等が起こりますので舌などを噛まないようにお気をつけ下さい」

 「大気圏突入予定は約15分後となります、因みに通常スペースシャトル等はマッハ21程度で突入していると言われています、当社の数十倍の速度で半ば滑空しながら突入している訳ですが当社ですと最高速度は行きと同じく時速600km程度でそこから徐々にブレーキを掛けていき最終的にそっと地面に置く様に着陸致します、また遠心力利用の為にズレてしまった位置を調整するためもし余裕が有るなら窓から覗き込めば列島を移動しながら落下する光景が見れますよ」


 「はい、皆様お疲れ様でした、お帰りの前にコインロッカーをご利用の場合は荷物を引き出して下さい、尚100円が戻ってくるタイプのロッカーですので其方もお忘れなく、本日は当社をご利用頂きありがとうございました」

 「ヤベェ、もう一回行きてー、次は全員で行こうぜ、予約って此処でも取れます?」

 「大変申し訳御座いません、ご予約は現在は電話でのみ受け付けております」

 「あー、そうなんだ、じゃあ、直ぐにでも電話するか」

 「でも今月はもう予算キツいぜ、此処カードも無理だし、行けて再来月以降じゃねぇの」

 「それだとイベントと重なるな、九月くらいに取るか、どうせその頃には他のが擦りまくってるだろうけど動画とか関係なくまた行きたいし」

 「じゃあその予定で組むか、それだけ先なら予定調整できるし」

 「後はショーちゃんと合流してからだな、1時間コースだからそろそろ戻ってくるか、とりあえず荷物纏めて車で待ってよう」

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