建築現場の日常
建築は基礎固めからスタートする、その前段階を考えるなら地質調査からだし、もっと言えば図面を用意して模型を用意する所からスタートするが建物を建てると言うならばおおよそ基礎固めから始まると言っていい、例えそれがプレハブ小屋でも地面に直置きというパターンは稀有を通り越して皆無だろう、雨や地震の事を考えるならば穴を掘り、砂利やらコンクリートやらで足元を固めるのは地震や風雨災害の多い日本という国では必須となる。
深さも範囲も建築物や用途で変わるが物凄く頑丈な地盤を持っていたとしても最低限の強化は必須だ、表面が強固でもその下は、そのまた下はどうなっているのか、その辺りを考えたなら何もしないという選択肢は取れない。
少なくとも何もしないよりはマシだ、基礎を固めた上で柱を建て、耐震性を上げながら梁を渡して棟を作り屋根を張り壁やら床やら張り付け、和風洋風問わずこの辺りの流れは同じだろう、例外的に工場でパーツを作って現地で組み立てるという方法も有るには有るが。
二つの建物を同時に平行して作っていく訳だがその用途はそれぞれで全く異なる、と言うか一つは一般的とは口が裂けても言えない用途で使う、片方は家だ、人が住む居住空間で三階建の一軒家、間取りだとか部屋数だと広さだとか和室洋室の差異は有っても家は家、風呂が有ってトイレが有ってキッチンが有って部屋が有る、何をどう言い繕っても普通に家だ。
まだ基礎だけしか無いが手抜きでもしない限りは後は変な材料でも使わない限りは良い家と呼べる物になるだろうと完成予想図や模型から想像はできる、問題となるのはもう一方でこちらも予想図や模型から想像は可能だろう、と言うか模型の出来を考えるならば基礎だけしかない現状でもアリアリと想像は可能だ。
その用途が最大にして唯一の問題点で何をする建物かと言えば実験のための建物だ、毒の調合、抽出、爆発物の製造等々、一般的からかけ離れた用途での使用を想定した建物は基礎からして隣の一軒家の物とは全く違う、基礎の厚さ規模を含めて尋常ではない。
流石にミサイルだとか大量のC4を想定している訳では無いが内側からダイナマイトが爆発したくらいではビクともしないくらいには頑丈に作る必要が有るし何かの拍子に毒が漏れだしたりしないように作る必要がある、どうせ内と外から障壁でサンドしてより強固にはするが建物自体の堅牢さが無いと御近所さんに申し訳が立たない。
まぁその御近所さんは直近でも畑やらを挟んで20メートルは向こうだが住居に限ればで倉庫や駐車場なら斜向かいに有る、昔で言うところの向こう三軒両隣後ろ三軒、真横は小さな畑と自宅、真向かいが隠れ家、その隣に駐車場と近くの企業が所有する倉庫、真裏は貸し倉庫、駅近でも住宅地からはやや離れているためこんな物なのだろう、これで割り増し料金で土地を購入したというのはどうかとも思うがそもそも家は安くないのだから誤差の範囲と思うしかない。
現代日本において、その建築物はかなり珍しい部類に入るだろう、何せ一軒家なのに駐車場が存在しない、これがスペースの余裕が無い猫の額の様な手狭な土地にと言うのならば理解もできるが隣の建物も含めるなら一階の一部を駐車場にするパターンならば四台は軽い、だというのに贅沢にも法律の許す限り敷地いっぱい使って全て居住空間にしている、しかしそれもその筈で道路を挟んだ隠れ家一階スペースには車三台、バイクに自転車を止めてまだ余裕のあるスペースが有る、今さら一台や二台の駐車場を必要としない。
ただ工事中は車を道路に止めるなんて事ができる筈もない、一時的に月極の駐車場を借りて車を移動させ、その上で工事車両に隠れ家の一階を貸している、別に借りた月極の方に止めて貰っても良いのだが運搬だとかの手間を考えるとやや遠い、五輪だなんだと忙しい中で手を割いて貰っている手前、ある程度の気遣いはしておいて損はない、気持ち良く働ける環境というだけでモチベーションを保てるなら月々の駐車場料金等安い物だ。