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異能部  作者: KAINE
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会社の日常その2

 「皆さんおはようございます」

 「えー、本日は何時も通りお客様対応の練習ですが前に言った通り本日はCMの撮影で数人お客様が来ます、と言っても有名な俳優女優とかじゃなく、エキストラとかをメインにしている方やポスターのモデルさんとか、後はナレーション担当の声優さんですね」

 「では、皆さん今日もバリバリ練習お願いします」


 そろそろ11時を迎えようかという頃になって十数人が門を潜る、老若男女を絵に書いたが如くで子供からお年寄りまで、それぞれ男女一組でそれにプラスして子役の保護者、おそらくは母親に各事務所の担当だろうスーツ姿の人物、緊張している者、不安そうな者、泰然自若を絵に描いた様な者と様々だが一様に『なんだここ』という怪訝な雰囲気は漂わせている。

 「いらっしゃいませ、この度はご足労頂いてどうもありがとうございます」

 「男鹿さん、お久しぶりです」

 「お久しぶりですね、今回も面倒な仕事をお願いして申し訳ない、ナレーション入れるのに知己の方が良いだろうと無理言いまして、その上で経験しておいて貰った方が熱も入るだろうってご足労をお願いしました」

 「いや、お恥ずかしながら私個人は閑古鳥ですからね、スケジュールも空きが多い、最近ようやく名無しのモブから名前有りのモブに格上げしましたが、主人公は遠いです」

 「そう言って頂けるとありがたい、収録は撮影終わって編集してだから予定通り明後日、場所は今回は前と違って貸しスタジオじゃなくてアフレコブース用意してますんで時間余る様なら練習でもなんでも使って下さい」

 「報酬貰った上に練習もですか? 遠慮しませんよ?」

 「まぁ借りたの二時間ですし、映像的には5分の長いCMと15秒30秒の一般的なのの三つ、台詞はある程度決まった物に加えてアドリブって感じですかね、今回の体験を存分に生かせて貰えるとありがたい」


 「えー、では簡単な打ち合わせを済ませて撮影に入ります、一応お弁当をお昼頃に届けて貰うように手配してますから撮影後に食べていくか持って帰るか、その辺りはお任せするとして」

 「先ずはそちらのお二人は定年退職後の夫婦設定、小物として指輪用意してるんで合う物を着けて下さい、そっちのお二人と二人が子連れの夫婦、んで残りの二人がカップルですね、大まかな流れとして窓から外見て感動って顔と少し動いてはしゃぐ感じに、後はちょっとした事に驚くみたいな演技ですね、カップル役にはプロポーズもお願いしたい、台詞はナレーションベースなんで特に無いです、適当にワーとかウーとかキャーとか、マイクも無いんで声が適度に入る程度でお願いします」

 「では、撮影前に説明を受けていると思いますが機密保持の契約書と、後は自己責任の契約書をお願いします、と言っても前者は来週には放送されるんでそれ以降は無視して構いませんし後者に関しては安全を保証します、後申し訳無いんですが親御さんやマネージャーさんも、と言うか子供は保護者有りが基本なんで親御さんもお願いします」

 良い機会だからと契約書の記入に際する説明等の練習も同時に行い全員分の書類が積まれていく。


 「では、大まかな流れも説明しましたし、そろそろ行きましょうか」

 ゆっくりと加速しながら高度400kmと少しまで、おおよそ45分という短時間でだ、若干以上にGは掛かるがロケットに比べればかなりマシだろう、最高速度でも500km程度ならリニアモーターカーの想定速度と変わらない、基本的には初速の惰性で飛ぶロケットに比べれば圧倒的に楽だし訓練も必要無ければ老人だって問題はない、一応は重病人や妊婦、手術直後や赤ん坊、自立できない者等は残念ながら危険なため利用できないが国内旅行程度の予算で宇宙に行けるのだから安い。

ネックとしては千葉の南端に近いためやや交通の弁が悪いという程度だが都内からでも高速が空いているなら1時間半くらいで着ける。値段設定的にもお手軽でしかも急上昇急降下の合間の無重力という僅かな時間ではない、上下の往復で1時間以上は要するが十分に楽しめる。

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