会社の日常その1
「皆さんおはようございます」
「えー、本日より皆様には我が社の社員として働いて貰うわけですが、一先ずは雇用契約書を結び、基本的な申し送りを済ませてからオープンに向けての訓練等を行います、またシフトに関してはとりあえず用意させて貰った物を見て下さい、どうしてもこの日は無理という場合は他の人に変わって貰うので早めに暫定人事の方に伝えて下さい、来月以降に関しては10日から13日までに彼処の希望用紙に記入して人事に提出してください、ただし希望が全て通る訳ではない事を留意してください」
「では先ず正社員から、契約が終われば社員さんはバイトさんパートさんの契約をお願いします、ソレが済んだら暫定的な配置を伝えますから」
「では、新島さんは人事です、人事権を与えますので必要に応じて募集やシフト調整をお願いします、で、東さんは会計を、基本的には売り上げのチェックと後はお給料等の計算を、羽山さんと屋鋪さんは会計監査として生データと照らし合わせ、高坂さんは事務としてその他の管理、真島さんは広報、昭島さんは予約の管理をお願いします、なお、暫定的ですので研修が終わるまでは相身互いで助け合いをお願いします」
任命が終わり直ぐ様数十人のアルバイト達との雇用契約を交わしていく、ひたすら判子と署名集めだ。
「えー、ではとりあえず五人程、面接時に確認してコールセンターの方が良さそうな方が居るのでそっちを先に、田中さん、上田さん、前谷さん、重岡さん、岡山さん、彼処がコールセンターです、まぁただの部屋ですが、応答と予約の受付を皆さんにお願いしたい、とりあえず基本的な応答を記した用紙が有るので其方を覚えて貰って、後はパソコンの使い方、残りの方は此方のプレハブとコンテナが基本的な持ち場になります」
「あの、少し宜しいでしょうか?」
「はい?」
「まだ具体的な業務内容を聞いていないのですが」
「あぁ、そうでしたね、と言うかまだ自己紹介もまだだった」
「OGA.co社長男鹿松平兼守長倉源温羅神馬手方平之真典影康男Jr.、くそ長いんで呼称は男鹿とかで良いです、もしかしたらと思ってる人も居ると思うので加えておくとクイズ番組に出てる名前の長い黒人大学教授の息子ですね、去年高校卒業したばかりの若造ですが皆さんの給料払うくらいの度量は有ります」
「んで、肝心の業務内容ですが、あのコンテナを俺の異能で宇宙まで飛ばします、一人辺り1時間15万円、内部の酸素濃度とか考えて最大2時間まで、貸し切りだと一組30万円プラス、貸し切りでないと飲食禁止って感じですね、小さいですが窓から宇宙も地球も見えますし無重力は体験できます、その辺りの手当てが一回500円の奴ですね」
「大丈夫なんですか?」
「大丈夫だね、営業時間中は真上を飛行禁止区域にしてるし許可も有る、あのコンテナ宇宙用で気密性バッチリだし本来なら放射線の問題は有るがそっちも防いでる、隕石とか宇宙デブリも防ぐし重量的にもアレの倍を一度に飛ばしても余裕」
「ここまで説明聞いて無理だって思ったなら解約して帰っても良いよ、機密は守って貰うからそっちは解約できないけど、コールセンター組も正社員組も一度は飛んで貰うから覚悟はしてほしい、ただまぁ、特典じゃないけどオープン前日に皆さんの家族友人に一回限定の無料券渡して体験とかしてもらうし、皆さんが飛びたいなら社割りもさせて貰う、何より宇宙飛行士くらい宇宙に携われるって名誉って言って良いのか? まぁそんなのも有る」
「失礼ですが安全性が確実に担保できると?」
「まぁそういう異能持ちだからね、俺の障壁破るには世界中の核兵器持ち寄っても足りないし、ビックバンクラスの衝撃でワンチャン有るかどうかじゃないかな? 少なくとも月が高速でぶつかる程度は屁でもない」
言いたい事は一つや二つでは足りないがそれでも給料を払うと言うなら働こうと思う者は残り、付き合っていられないという数人が辞退を申し出て去っていく、来る者は選り好み、去る者は優秀なら追うが会社の常だろうが初日となると優秀がどうかなんて解らない、面接で明らかにやる気が欠如していそうな奴とか応募要項が読めていないか読んだ上で無視しているとしか思えない連中を間引く以上の事はできていない、基本的に条件が合うのをこのくらいは必要だろうという人数集めただけ、前途は多難だがバックレなかっただけマシだろう。