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異能部  作者: KAINE
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西岸高校の日常その3

 しかしネズミはと言うといつの間にか司会の男の手の上で毛繕いのような仕草をしているが毛なんぞ一本も生えてはいない。

 「さて、ではではネズミ君にもう一仕事、お次は球乗りと参りましょう、蛇君にもスネークダンスをお願いして賑やかに参りましょう」

テーブルの上にいきなり現れる野球ボールと手の上から消えてテーブルの上に現れるネズミ、もはやどんな技術と道具を用いても再現が難しい、そもそも意のままに動くネズミを用意するのが相当に難しい、と言うか自在に動くネズミの骨となると異能以外で実現不可能だ。


 球乗りと輪潜りと続き最終的に蛇の背で滑り台を慣行するも骨が引っ掛かりバラバラに、瞬時に組み直されて二匹でポーズという微笑ましいのかグロいのか見ている者でも判断に迷うサーカスパートが終わる。

 「さてさて、お次は不思議な不思議な瞬間移動、えっ? さっきからやってるだろうって? いやいや、こんなムサイ男とネズミや蛇じゃ絵面が悪い、綺麗所二人でござい」

バニーガールだとかメイド服だとかハイレグタキシードみたいな色物ではなく、普通に制服に身を包んだ女子生徒二人、と言うか漫画やアニメならともかく女子高生が文化祭でメイド服は良しとしてもバニーガールやハイレグタキシードは許可が出ないし勝手にやるにしても秒で生徒指導室送りだ。間違いなく親御さんと緊急三者面談となるだろう、百歩譲って男子がネタ的にやるなら目溢しも貰えるかも知れないがそれを見たいという層は特異で稀有ではないが少ないのは間違いない。


 「先ずは一興、掌も甲も何もなく、袖も短く隠せるハンカチすらない、ですがグッと握って開けばこの通りトランプワンセットがドロンと出てくる」

 朗々と状況を説明する男に対していや女子高生の説明が聞きたいなと言う目線が僅かながらに混じるのは仕方がないのだろうが横の奥さんや弟妹兄姉を見て同じ事を思えるなら蛮勇を通り越した何かだ、そういう時は努めて圧し殺して目線すら向けずに念を送るのが正しい作法で唯一の正解だろう、パートナーがサイコメトラーで思考を読まれたらアウトだが。


 カード当てにカード移動、いつの間にか帽子やポケット、蓋の閉まったビンの中に移動するコイン、手練手管ではなくテレポートによるマジックに手練手管のマジックを混ぜると意味が解らなくなる、そもそも菜慈美と はその器用さから簡単なマジックくらいなら余裕で可能だ、と言うかカードゲームならイカサマ目的で使う、高い空間感知能力を誤魔化すために色々と工作しながらのそれはギャンブル漫画のソレよりも火花が飛び散る読み合いとなる。

 マジックの基本技術であるミスディレクションと異能が組合わさると文字通り霞と消えて現れる、目線を向けるように大袈裟に動き煽る司会がそこに混ざるとちょっとした失敗でさえ誤魔化せる、しかも障壁によるブラインドまで混ざると世界トップクラスのマジシャンでも種を見破るのは不可能だ。


 「本日最後の出し物はメインイベント空中浮遊、束の間の無重力、フワリフワリの夢世界、尚、女子のスカートの下は短パンです、男諸君は残念無念、しかしそれを顔に出さない方が良いでしょう、女子高生を身近に見れるだけ得と思え野郎共」

 そんな煽りと共に空中にスーっと浮かび上がる、さながら天に召される魂の如くだがそのまま体が反転して上下逆さまになるのは異様な光景としか言えない。

取り出したボールが縦横無尽に動き回り空中を歩く様に菜慈美がパントマイムをして見せ、その上社交ダンスまで踊って見せる、仮にこれらを種と仕掛けでやっているならば即日ベガスのショーでスタンディングオベーションだろう。

異能にどちらかと言えば懐疑的な感情を持つ者でさえ凄いと感心してしまう盛況っぷりは回を増す毎に観客を増やし、特に用意もしてないのに何故だが投げ銭が貯まっていくという珍事で幕を下ろした。

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