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異能部  作者: KAINE
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決め技

 「そろそろ書記ちゃんの出番だな、女子無差別級は五人しか居ないから今までより如実に現れるぜ」

 次々にポージングしていく五人の中で、やはり抜きん出て、と言うか頭三つは背が高い、アメリカ人に混じって一人だけアジア系なのに最も背が高いのだから彼女の大きさが目立つ。

 「なるほど、確かに如実にだな、調整が急とは言え影野君の腕回りや足回りの大きさは流石だし腹筋背筋も大きい、反面調整が間に合わなかったのかメリハリがそこまで出ていないのと血管も大きくは出ていないように見える」

 「お恥ずかしい限りです、こうして改めて見ればやはりポージングの甘さが見えますね、調整が間に合わなかったと言うのは言い訳にもなりません」

 「まぁ俺が急に誘ったみてぇなものだからな、そこら辺は微妙に罪悪感もあるが何事も経験だ、でしょ? 校長」

 「せやな、時間が足りんかった、技術力が足りんかった、自覚してんねんやったら練習あるのみや、特に今回みたいに世界と戦うみたいな経験はこれから先デカイで、間違いなく自分の財産になる」

 「でも黒子の大きさは群を抜いてるようにしか見えないんですけど」

 「下手に優れている所が有るから粗が見えてしまっているのね、これで調整が間に合っていたら他が霞んで見えそう、でもやっぱりポージングの荒さが際立つのかしら」

 「だと思います、我ながらポージング練習をもっとしっかりとやるべきだったと、追い込みに必死だったとは言え本当にお恥ずかしい限りです」

 「いやいや書記ちゃん、恥ずかしくもなんともないぜ、準備が足りねぇだのなんだの言ってたらしわくちゃの婆になっても出場なんぞできん」

 「あぁ、どんな事も準備が揃っている時に来るとは限らんのだ、災害然り大会然り、無いなら無いなりに全力を出すしかないし全力を出したなら恥ずべき所は無い、手を抜いたというなら別だがそうでないなら胸を張って次に生かせば良い」


 一次選考を通り決勝に駒を進めるがその前に男子の部に入る、それらが終わってから午後になってようやく第二部の幕が上がるのだ。

 最軽量級からスタートして最重量級まで、そして最後の90kg超級に黒子の父が出場する、二組目8人の中に立つ二人しかいないアジア系、一人は国内の大会でも名の知れた選手だがだからと言って劣る訳ではない、同じように国内の大会では多少は知られていて互いに互いを知っている、と言うか参加者の中には彼らの見知ったビルダーも居るし軽い挨拶も交わしている、が、そんな事は余人が知る筈もない。


 「おー、流石に大会に向けて調整しているだけ有って凄まじいな、スタチューマンとはよく言ったものだ」

 「ほんまやなぁ、仁王さんとか不動さんとかあの辺のモデルになりそうなガタイしとるわ、それこそ塗装して美術館に飾ったら動かん限りバレへんのとちゃうか?」

 「大道芸としてのスタチューですか、彫像みたいな美しい肉体を目指す的な意味が有ると大会関係者が言ってたから誉め言葉としては最高の部類ですね、地味にそういうの作ってる美術家が観戦してるとか聞きましたし」

 「何時の時代も筋肉は色褪せない美ですから、至高の美とは筋肉に宿る、そして鍛え上げた肉体は神域にすら触れる、父がボディービルを始めた頃に先輩から受けた言葉だそうです、もちろん、女性的なフォルムもまた美なのでしょう、あるいは醜く見える肉体もロダンやミケランジェロに任せれば美に至るのでしょうが」

 「まぁゴリゴリのマッチョばかりだと萎えますからね、線の細い美少年から中年太りのオッサンまで、描いてこそです」

 「摘まみ出すぞ腐女子、いい話してんだから少しは自重しろ」

 「いやあんたも然り気無く女子の部で興奮してたから言えないわよ」

 「おいおいカッコつけてんだからカッコつけさせろよ」


 二部に移りそこからさらに熱くなる、何せオリジナルのポージングが混ざる、片方はラットスプレッド片方はバイセプス、足上げや膝曲げ、ゲームのポージングからアニメのポージングまで、最終的に影野親子のオリバーポーズは会場と視聴覚室のドヨメキがその凄まじさを浮き彫りにして、このポーズだけならば甘さなんて欠片もなく最も得意なフィニッシュブローは輝いて見えた。

やっちまったなぁ、やっちまった

順番間違えました、修正しといたんで前話からお読みください

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