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異能部  作者: KAINE
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デートの日常その2

 五人乗りのピックアップトラックは日本ではソレなりに珍しいだろう、皆無では無いがアメリカ等に比べれば町中で見掛ける事は少ない、むしろ軽トラの方が主流だろう、あるいはワゴン車の方が見掛ける事が多い、灰色の車体がアクアラインを越えて都内に入る、そのままナビに従って移動を続ける、免許を取得してまだ数ヵ月だが夜等に練習を重ねて高速の乗り降りもスムーズだ、まだまだ都内を進むのは不安が残るのも確かだが安全運転を心掛けるなら少なくとも自分からの事故の可能性は減らせる。

 減らせるというだけで皆無では無いのだが幸いにして無理をするならば制動距離も自由自在、最悪車を浮かせれば追突等は防げてしまう、若葉マークも取れていない新米ドライバーだがその実、安全性で言うならばベテランをぶっちぎる勢いで確保できているのだ。

二人を下ろしてから来た道を引き返してそのまま横浜まで、おおよそ1時間と少しのドライブを楽しみ、中華街に程近いタイムパーキングに車を止めて徒歩で中華街を探索する、雑貨に料理に土産物、食材を売る店も有るがお目当てはまずは肉マン、ソレに昼食だろう、適当な飲食店に入り担々麺と肉マンという重めの昼食を若者らしい食欲で難無く平らげ、その上でデザートに杏仁豆腐を追加注文する、混んでいるため他の客に急かされる思いで店を後にして、そのまま次の目的地である土産物屋に向かう、まぁ土産物屋と言うよりは露店販売のソレに近いが。


 飴の塊を伸ばして捻ってまた伸ばして、それを何度も繰り返して糸の束の様な物を作り出す、竜の髭飴という技術が必要という点を除くならばなんて事のない砂糖菓子だがその食感や中に入ったナッツの風味は男鹿家においてはお茶請けの定番で家族全員の好物の一つでも有る、故に定期的に購入していて日持ちもするため一度に大量購入していく、故に店員も顔馴染みとなり、顔を見せるだけで手早く箱詰めと製作を開始するくらいの入れ込みで観光客相手の客引きも兼ねてはいるが一気に数回も飴を伸ばして箱を積んでいく。

 「うーん、今日は25箱で」

 「何時もありがとうございます」

 かなりの大量購入だが慣れた物で紙袋に随時詰めて代金を受けとる、少なくとも半年に一度は誰かが来るのだ、しかも男二人は長身で目立つ、もはや前を通り過ぎただけで準備しようと考える程度には慣れている。


 そのままウインドウショッピングを続けて無駄に缶詰めだとかジュース等を買い込み名残惜しげに肉マンを食べ歩く、そうして迎えが必要になるまでの残りの時間はさて何をして過ごそうかと、とりあえず荷物を荷台に取り付けられた箱に詰める、後部座席でも良いのだろうが二人が色々と買い込むなら手狭になるかもしれないしという気遣いだ、と言うか電車ではなく車を用意させた時点で抱える程度には荷物が有りそうだと判断して荷物持ちで無いのは幸いだろうとも思う。

 普通ならば両手で抱える肉体的な疲労は異能で感じないだろうが面倒ではある、美少女二人の随伴とは言え大量の荷物を浮かして後ろを歩く様はなんというか従者と言うにも情けない雰囲気がある、それも男の甲斐性だと言えばその通りなのだろうが持ち歩くくらいならば宅配で送ればいいしその都度車に運べば良い、コインロッカーを使っても良いし見せびらかす様に抱え込む必要は無いだろう、そんなのはドラマの中だけで十分だ。荷台に取り付けられた箱に南京錠でしっかりと封をして、さて缶コーヒーでも飲んでから東京方面で遊ぶかと予定とも言えぬ予定を決めて、あぁと、心の底からの溜め息が出てしまう。


 大事な物を守ろうとするのはイケナイ事ではない、それに優劣は有るだろうし自分にとっては宝でも他人からすると石ころなんて事は枚挙に暇がない、だから大抵の奴は本当に大事な物は隠すなりなんなりして壊れないように傷付かないように気を付けるしそれが無理ならせめて目の届く範囲に、それも無理ならせめて何かしらの対応策を見付け出す。

 家族や家に、友人にそして町中で見掛けただけの見知らぬ美人に、然り気無く障壁を張っている、強度や程度に違いは有れど今まで幾万と張ってきたそれらの位置関係は距離と方角という形で常に把握できてしまう。故に優先度は当然の様に着けていて仕事等で張った物なら極めて意識しないとその位置を把握するのは難しく家族ならば無意識的にもどの辺りに居るのかの検討が着く。

今日張ったばかりの髪留めと、自分の彼女の距離が今この瞬間も物凄い勢いで、それも何度も方向を変えながら離れていくのは異常と言わずに何と言う、置き忘れは有るだろう、事実髪留めは動いていない、だが歩く速度ではなく離れるのはオカシイ、車で来たのに電車やタクシーで移動? 可能性としてはあり得るが電車の挙動でもタクシーのソレでもない、ならば本人の意思で車だかバイクだかを盗んで暴走している可能性も有るが可愛い後輩も追従してとなると可能性は拉致しかないだろう。

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