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異能部  作者: KAINE
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婦女子の日常その1

 「失礼する」

 最低限の儀礼としてノックをして返答も待たずに入ってきた生徒会長に顔をしかめつつも己の書いた簡潔に言えば誰でも歓迎という看板を思い出してか軽く手を上げて挨拶を済ませる、そのままいつの間にか持ち込まれたケトルからお湯を注いで紅茶のお代わりを作る。

来客にお茶を出すという雰囲気は全くない、まぁ単に勝手知ったるで飲みたいなら勝手に煎れるというのが理由だが。


 「よぉ、一人とはまた珍しい、で何か用か?」

 「あぁ、影野くんと緒方くんは別用ででね、この間貰った書類に不備が有ってな修正を頼む、しかし珍しいなお前がケアレスミスとは」

 「うん? あぁ日付の記入漏れか、遡って書くか? それとも今日か?」

 「今日で頼む」

手早く日付を記入して念のために名前等を確認する、別に申請日が伸びても問題はないが文化祭への参加はできない、何をするかの紆余曲折を考えてもその苦労を無にしたくはないのだろう。


 「あぁこれでいい、名前に関しても名簿見て一字ずつ確認しているからな、後は場所決めと時間だが部長会が明後日の放課後に決まった、必ず出席するように、それと一つ聞きたい」

 「すまん」

 「何故深井くんは」

 「ゴメンて」

 「我々を見ながら鼻息を荒くして」

 「本当に申し訳ない」

 「スケッチブックにペンを走らせているのだろうな」

ただ座ってコミックを読んでいるだけだった少女はケアレスミスの辺りで鼻息を一気に荒くして何時の間にか取り出したスケッチブックにこれまた何時の間にか取り出したミリペンを走らせている。


 素早い手の動きと下書き無しのフリーハンド、集中線も輪郭線すら描かず、だというのにまるで雑誌から切り抜いて来たのかと言いたくなるほどに板田男鹿両名を写し取っている、ただし顔だけだが。

 片や椅子に腰かけたまま紅茶を飲み片や書類を手渡せる程度の位置に立つ、そんな二人を見てどうして顔を寄せ合い、頬を赤く染め、互いの頬に手を添えるような絵になるのか全くもって理解できない。

ただ男鹿の方はもはや慣れているらしく何が描かれているのか、描いているのか見える筈もないがその異能による副産物を使うまでもなく彼女が何をしているのか最初っから解っていた。


 「で、後輩、何がそんなに琴線に触れたよ、俺らの会話にに尻を掘りつ掘られつに繋がるような要素、毛ほども無かっただろうに」

 「はぁ~? なに言ってるんですか先輩、普段目の敵にしているからこそ実力は認めてるっていう会長の一言『珍しいなお前がケアレスミスとは』これに滾らないとか腐女子名乗るんなら最低限礼儀でしょう、これは捗るマジで捗る」

腐っていた、他に何か言い様は無いくらいに腐っていた、鼻息荒く語気強く手を休める事無く腐っていた、そのまま2枚目に突入するくらいに腐っていた。


 「いや、まぁ男鹿の能力を認めているのは確かだが、だからと言ってその男色とかは失礼ながら興味ないのだが、と言うか目の敵にはしていない」

 「あーあ、燃料投下したよバカが、俺だって知っての通りおっぱいとかお尻と、とにかく女の子大好きだけどコレのフィルター通すと全て腐るんだっての」

自らの妄想を認められてコレ呼ばわりも気にせずさらにペンが走る、漫画の神はフリーハンドで真円を描けたと言うが如何に彼の御仁でもフリーハンドでもはや服すら脱ぎ捨てて絡み合う二人の男を描くのは可能でもゴメンだろう、と言うかBL世界に興味が無かったり知識が無いならば大抵の漫画家はゴメンだろう、仮にそれを生業としていてもここまで極まってフリーハンドでとなるとおそらく世界に十人と居まい。

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