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異能部  作者: KAINE
41/207

Ifその1

if系は本編とは全く関係ないです

 事実は小説より奇なりと言うならば死者を生き返らせてみよ、あるいは道具も無しに空を飛べ、それらは少し意地悪な思考を持つ奴なら言い出しそうな事で、それを言われた場合、さて空を飛べと言うなら容易い、死者を生き返らせよと言うのは自分ならば生き返らせる事も叶うと少年は答えるだろう。

 だからこそ、起こり得ない何かが在るならば例えば明日からゾンビ溢れる世界だとか、イルカ人間が海から攻めてくるとかそういうのだと夢想していた。

所謂タラレバ、もしもの可能性、空想妄想想像、あぁ神様とやら願わくばそんな非日常はゴメンですと、あぁ悪魔とやらクソッタレな世界なんぞ押し付けるなと、それはある種のリアリズムと空想が重なって生まれる二律背反だろう。


 例えばゾンビが現れた、現代日本で銃持ってるのは警官と自衛官と猟師と競技者だけだ、何より訓練も受けていない何処かの誰かが、自分がはいどうぞと渡されて使いこなせるか? いや無理だろう、セーフティだとかはまぁ映画やゲームでどうにかなる、照準も近距離なら問題にはならない、だが反動は? 撃った衝撃を正しく逃がせないのだから何処かのタイミングで腕か足か腰にガタが来る。

 例えば目の前に巨大怪獣が現れた、おおよそ踏み潰されて終わるか瓦礫に押し潰されるか、ろくな事にはならないだろう、故にそんな非日常を願いながらも心の何処かで特別じゃない自分では対処できる筈がないと気付いてしまう、それは万能と言える少年でさえ変わらない、敵を知り己を知ればと言うが敵は知らずとも己の限界は知っている、例えば何かの漫画の主人公と戦えば物理的に殺せる相手ならどうにかはなる、だが決定打を打てないならじり貧でしかない、何せ少々鍛えている高校生でしかない、例えば数キロ先から狙撃されても反応できるとか、光速で動く物が見えるとか、コンマ一秒にも満たない刹那に把握と行動が可能なんて事は全く無い。相手が光の速度で動き尚且つその動きを完璧に扱えて見えて聞こえて反応できる場合、守りを固めるしかない、確かに光速すら越えて移動はできるが見えるかと問われれば否だ、聞こえるか? 反応できるか? にも否だ、例えば瞬間的に光速で動いた場合、動こうと思い止まろうと思うまでの秒数×光速分だけその方向に動くだけだ、その事になんの意味もない、何せ光の早さだ普通に重力なんて振り切って大気圏を抜けて僅か数秒でも宇宙の彼方、どれだけ急いでいても反応できるという点を考えるならば出しても音速より少し上という程度、しかも衝撃波を考えると町中では使えない、そうなってくると時速数百キロ辺りに落ち着くのだ、そんな自分が光速で自由自在の相手を倒せるか? 当然ながら不可能だ。

状況を認知、適正な判断、そして行動脊髄反射でもコンマ秒が限界だろう、それ以上となるともはや予想して先に動くしかない、そして杞憂が可愛く思える程に想定しても間違いなく足りない。


 だからだろう、なんて事のない帰り道、何処にでもあるアフタースクール、きっと昨日も今日も明日も続いていく、何時か自分が死んでも遥か未来の誰かが続けていく、本当になんでもない光景だ。

 学校から家に帰る、途中で缶コーヒーを買う事も有るだろう、肉まんだとかお菓子を買う事も有るだろう、犬に追い掛けられたり知り合いに会ったり、バイトに行ったり寄り道したり、事故に合うなんて事も有るのだろう。

だが、間違っても地面にいきなり訳の解らない魔方陣の様な物が浮かんで光出すなんて事は想定できる筈もない。


 「ようこそいらっしゃいました、勇者様」

 地面が光ったと思ったら地面が光ったまま周囲の光景だけがグニャリと歪み、気付いたらアスファルトの地面に何処にでもある住宅街から大理石っぽい床に白壁の部屋の中だ、その上に美人が意味不明な事を言っている。

とりあえず顔をつねってみたり、頬を叩いたり、なんならデコを殴ったりして夢から覚めようとするのを誰が責められる、とうとうストレスで気でも狂ったかと疑う様な状況に置かれてとにかく自分を取り戻そうと躍起になるのは至極当然とも言える筈だ。


 そこまでしてようやく現実ってやつを受け止める気になって、そうして初めて状況が見えてくる。

 ザワつく周囲にはそれはそうだろうとしか感じない、例えば自分でも隣の奴がいきなり自分のオデコに握り拳ぶつけたらなんだ!? と驚く、例え自分も同じようにいきなり訳の解らない状況に置かれていてもだ。

どうやら一段高い舞台と呼べるか不明だが大理石らしき床に紋様や文字が彫り込まれた場所に自分を含めて三人、そして一段低い床に跪く金髪の美人、その後ろに顔を布で覆う全身白ずくめの男二人、そのさらに後ろに甲冑着た男、ここまで来てようやく思いた当たるのは一つくらいしかない。


 「あぁー、そこのパツキンの姉ちゃん、お前さんが俺達を召喚? 転移? まぁ呼んだって事で良いのか?」

 「え、えぇ、はい私が皆様をお呼びしました」

 「俺らの、もしかしたらコイツら俺の世界の出身じゃないかもだが、俺らの世界のテンプレ、まぁお約束だと魔王だとか邪神倒してってのがベターなんだが?」

 「その通りです勇者様、来るべき戦いにおいて魔王の討伐を願いたくお呼びしました」

 「なるほど、で、一番の問題は戻れるのかだがその辺りどうなの? まさか戻せないとか言うなよ、その場合俺は何するのか解らねー」

 「もちろん戻れます、魔王を討伐する必要はありますが間違いなく戻れます、これは神に誓って言わせてもらいます」

 「ほーん、で報酬は?」

 「報酬ですか、贅価はもちろん、権力も思うがままに」

 「なるほど、例えばこの国の国宝から作物の種一粒まで差し出せってのにも応じるしあんたの体はもちろん、そういう趣味の奴ならあんたの親父や後ろの甲冑着たのが尻差し出す覚悟は有ると?」

 「もちろんです」


 「おい、お前さっきからなんなんだ失礼だろ」

 そこまで来て隣のが煩いが

 「アホか、普通に暮らして普通に人生謳歌してる奴を否応なしに連れ込んで、その上で自分等で解決できねー難題を押し付けて、それでテメーの財布空にできねー体も差し出せねーってのは虫が良すぎんだろ、身代傾けようが一族郎党抱かれようが伏して乞う立場にコイツらは在って俺らはそれを強要できる、んで俺が一番許せねーのはそんな覚悟決めてるなら魔王とやらにテメーで立ち向かえって点だ」

 「それに神に誓うだの言われてもこの国の文化も何も俺らは知らん、それがクソ程の意味もないなら誓われたところで反故にできちまうだろうが」

 「だがまぁ良い、どうやら力も問題ないし道案内を一人と宝物庫を開ける準備でもしてろ、今日中に終わらせて帰りてぇ」

この場合でも異世界転移タグって必要なんだろうかと、一応着けておきますが

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