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異能部  作者: KAINE
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空の旅

 そこはきっと男の子ならば大抵一度は憧れる席だろう、一度で良いから座ってみたい、一度で良いからハンドルを握ってみたいと夢見る三つの内の一つ、すなわち電車の運転席、巨大ロボットの運転席、そして飛行機の運転席。

 幾つものメーターやスイッチが所狭しと並ぶ様は壮観で叶うならば意味もなくオンオフさせたいだろう。


 しかし、この機体はかなり様相が違う、まず操縦桿が無い、エンジンスロットルも無ければラダーペダルもない、スイッチも本来なら有る筈の物が皆無で必要最低限だけが取り付けられている。

 唯一メーターはおおよそ揃っているしモニターも有るが足りない部分も多い、そもそもこの機体は羽は付いていても可動部分が皆無でジェットエンジンすら付いていない。

それらは不要と取り外されているから当然なのだが形だけのオモチャですらもう少しディテールに拘っていると思える程に無い無い尽くしだ。


 しかしそれらは当たり前と言えば当たり前、必要ないから存在しないという答えに至るだけだ、飛行機を動かすのにエンジンも燃料も必要としない、異能が有るから大丈夫の理論で不必要な物を取っ払ったのがこの機体で、代わりに発電機が予備を含めて三台積まれていてそのための燃料だけが用意されている。


 『ジュリエットアルファ9367オスカーヤンキーオーガ、こちらホノルル管制塔応答せよ』

 「こちらジュリエットアルファ9367オスカーヤンキーオーガ、ホノルル管制塔聞こえていますどうぞ」

日本を飛び立ちおおよそ2時間、戦闘機もかくやの速度で太平洋を渡りもはやアメリカの経済水域には入っている。


 『前方約25マイルにて重大インシデント発生、対応求む、どうぞ』

 「対応求むと言われても状況が解らない、詳しく頼む、どうぞ」

 『当空港を発進した航空機がバードストライクと見られるエンジントラブルにより現状左エンジンのみで飛行中、データによると貴方なら問題なく着陸可能と判断した、どうぞ』

 「面倒事はゴメンなんだが? その航空機の会社に全責任を取らせて俺の名前を出さない、俺を訴える奴が居るなら全責任をもって対応、この辺りが確約できるなら微力を尽くそう、どうぞ」

 『少し待て、担当に連絡する、速度を落として付近を旋回、または停止せよ、どうぞ』

 「了解、できるだけ早くしてくれ、どうぞ」


 全く面倒な事に巻き込まれたと嘆きたいだろうがしかし幸か不幸かは見る側によって違う。

 彼からすると面倒事に巻き込まれたとしか感じないが乗客から見ると確実に助かる手段がそこに有る、単に見る角度の問題でしかない。


 「えー、乗客の皆様にお知らせします、管制塔からの要請により当機は一時停止します、また人命救助のために若干ながら荒っぽい運転になるかもしれないのでシートベルトの確認と舌を噛まない様に御注意下さい」


 そのまま空中に制止する飛行機という世にも奇妙な光景は偶然にも近くを通った船や飛行機でも有ったなら映像に納められてもおかしくはない光景だろう。

 下手をしたらそれを理由に新たな事故でも起こりそうだが幸いにして付近を航行する飛行機は有っても高度が異なるしそもそも付近と言っても車や人の様にメートル単位ではない、キロ単位で離れているため目視するのは簡単ではないし仮に目視したとして飛行機もかなりの望遠レンズでも無ければ意味がないだろう。仮に携帯のカメラで最大望遠にしてもおそらく豆粒程度で画質も悪い、窓やレンズにゴミが付いているのを撮影している様な事にしかならない。

船からならもっと絶望的だろう、高速での移動による弊害として衝撃波がある、それらによる被害を考えると海面スレスレを飛ぶなんていうのは戦争中に敵機に終われてとか、敵艦船に爆撃したいとか、そういう退っ引きならない理由くらいだろう。

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