異能部の日常その11
「週3か、微妙なところやな、まぁ成績上位が三人揃っとるから文殊の知恵は越えるかもやが、って言うか自分等は大学行く気無いんか、無いから模試とか受けてへんのやろうけど」
「無いっすね、異能者受け入れしてる関東近縁の大学って一番良いところでDランですし、地味に遠いし、近場はFランですから、って言うか国公立で受け入れしてる所皆無な時点でお察しでしょう、当然の様に名門私学も右倣え、親父の勤めてる大学でさえ無理ですし」
「やろうなぁ、自分の成績やったら旧帝も狙えるし自分は文系なら狙えるか、英語系は鍛えられるやろうし道徳なんぞ入試にゃ関係無いからな」
「えぇ、卒業したらコイツの所にでも転がり込んで悠々自適の研究読書生活ですかね、あぁ念のために言っておくと結婚式はしないので招待状は送りません」
「若いのに達観しすぎやな、まぁ自分等の置かれた状況考えるとしゃあないやろうけど」
「時に、英語ってワシの専門やねんけど、生ってなんや、発音的な奴か」
「あー、俺、英語だとクイーンイングリッシュにアメリカ南部訛り、オーストラリア英語のスラング含めてほぼ完璧なんすよ、問題文はともかくリスニングテストの練習にはなりますから」
「ほー、具体的には」
「では僭越ながら、板田、今から言う英語を翻訳しなさい」
「Hiya.Georgie」
「やぁジョージ」
「Aren't you gonnasey hello」
「受験勉強してる?」
「Oh.comeon.bucko」
「Don'tyouwanna balloon?」
「してないみたいだな、ならこっちに来て一緒に勉強しようよ」
「なんでいきなり嘘字幕やっとんねん、ネタ合わせでもしてたんか」
「お気に召さないようなので此方を」
「he's a gigantic motherfucker」
「対象は男性、190cm髪は」
「stopや」
「おー流石に綺麗な発音っすね」
「お前らマジにネタ合わせでもしとったんか、いや発音は文句の着けようもないけど、次はなんや閣下か軍曹でも出してくるんか」
「あー、あそこまで流暢な罵詈雑言はとてもとても、それにドイツ語は話せなくは無いって感じなんで難しいですね、親父なら余裕ですけど、多分俺ら三人合わせて互角の高スペック脳ミソ持ちですから」
「旅行とか行って困らん程度に話せる時点で凄いと思うけど、親父さんってそんなに凄いんか」
「そりゃあまぁ大学で教鞭取ってるくらいですし、主要な言語はおおよそマスター、地域風土にも詳しいから手土産とか何持ってくのが失礼が無いか聞かれてるみたいですし、専門は考古学で土器とか大好き、地味に生物学にも知識が有ってアフリカ生まれアフリカ育ちなんでワイルドな肉食うのに抵抗無し、まぁ本人に言わせればレゲェ嫌いで運動音痴なアフリカ人との事です」
「ほーん、道理でクイズ番組で無双しとる訳や、理数系以外ではやけど」
「そこは天は二物を与えずって事で、先生だって英語話せて紳士っぽいけど顔はアレですし」
「嫁と娘からは慣れたら感覚麻痺して愛嬌感じる言われてんねんけどな」