異能部の日常その10
「邪魔すんでー」
「邪魔するんだったら帰って下さい」
「そうさせてもらうわ……ってそういう意味とちゃうねん」
「て言うか自分、退任してからこっち入り浸りやな」
今や元生徒会長となった男は退任よりしばらく異能部を拠点として地味に動いているらしい、故に放課後の彼を探すなら最近始めたというバイト先か異能部部室に行くのが最短ルートとなる、放課後に茶を楽しめるのは生徒会室か職員室、校長室、応接室、活動休止中の茶道部を除けば異能部くらいでハーブティーや紅茶ほうじ茶等各種揃えるとなると他では決して真似できない、地味にこの部室の品揃えは学内随一なのだ。
「まぁ美味しいお茶目当てと言うのも有りますが緒方くんの初仕事として校則変更の条文等を男鹿と精査してるんですよ、拡大解釈とかはどうしても出るでしょうからその辺りを先んじて潰すためにも大きくテコ入れが必要でして」
「こいつ曰く俺と菜慈美のコンビなら抜け道や粗捜しはお手の物って嬉しくもない評価を貰いまして、菜慈美はともかく俺は校則とかブッチしたのって数回くらいなのに」
「いや、一回でもホンマはアカンねんで? 教師にバレへんかったら何やってもえぇってヤカラよりはマシやけど自分は特に気ぃ付けんと最近風当たりドンドン強なっとるし理事会でも異能者の受け入れ停止案出たくらいやから」
「と言うか自分等二人は友達なんかライバルなんか落とし合う間なんか、よう解らんな」
「いや普通に友人か親友ですよ、仮にコイツがムッツリ野郎で幼女に顔面に乗られながら足で踏まれて果てたいとか思ってるヤバめのドマゾロリコン変態野郎でも警察への通報はしばらく待ってやろうと思うくらいには友人です」
「俺もまぁライバル兼親友ですかね、男鹿が深井君の操る犬ゾンビの尻に突っ込みたいとか思ってるぶっ飛んだケモホモネクロフィリア変態野郎でも病院紹介しようと思うくらいには友人です」
「とりあえず自分等が額面通りの仲や無いってのは伝わったわ、後仮に自分等がマジにそんな性癖持っとるんやったら頼むからワシが定年退職してから問題起こして、これ以上胃と頭皮にダメージくらいたない」
「あー、そういや俺らが一年の頃は綺麗なロマンスグレーをオールバックだったのがずいぶん白髪が増えて隙間も増えて、あの芸人により似てきましたよね」
「アホ言うたらアカンで、ワシは今年で63、アイツは50幾つやろが、ワシの方が年上やねんからアイツにワシが似とるんやなくてアイツがワシに似とんねん」
「あー、後そこの後輩、俺にケモホモの気は皆無だからスケッチブックに描くな、それとそこのビブリオフィリア、お前さんも然り気無く興奮すんな、最近BL小説にまで手を伸ばしやがったせいで俺の隠れ家の本棚また増設したんだぞ」
「って言うか俺の隠れ家にBL混ぜんの止めろや、この間太宰読もうとしたらヤベーの手に取ってたぞ」
「ハッ、新しい扉が開けて良いんじゃない」
「痴話喧嘩止めーや、って言うか本題や本題」
「本題? 漫才しに来たんじゃないんですか?」
「んなわけ有るかい」
「自分の成績が問題無いのは知っとるけどバイトとの兼ね合いとか大丈夫なんかって教師陣から声が上がっとってな、そんなん聞かれても困るとは思うけどそこのところどないなん?」
「どないと言われても成績が下がった覚えは無いですし、志望校もA判定キープしてますから、それに此処だと文系なら俺より上が二人、理系なら一人、しかも生の英語話せるのが揃ってますからね、バイトも週3ですから」
消されなければ良いなと、この程度ならばR15の範囲なんで大丈夫でしょうが、しかし最大の問題は作者が自分より頭の良い奴は書けないというジレンマに変態も含まれるのだとしたら、俺の業は何処まで深いのかと。