異能部の日常その2
「で、話を戻しますけど、仮に先輩が落雷とか寿命とかで死ぬとして、異世界転生とかしてもぶっちゃけ無意味と言うか微妙なんですよね」
「寿命なぁ、俺に寿命有るのか俺でも解らんが微妙ってのは?」
「例えば、転生、まぁ転移でも良いですけど、特典として魔法の才能とか剣の才能とか貰えるとして、弱体化してますよね」
「「あぁー」」
本人の言葉を借りるならば世界最強の念動力とバリアー、そして不死の肉体、剣や魔法の才能程度では足りない。
「えーっと、光速超えて移動できて、重量無制限、距離無制限、サイズ無制限の念動力に核とか太陽とか直撃しても壊れないバリアー、死んで5秒で復帰、ついでに微妙過ぎる予知、魔王とか瞬殺よね、私のも擬似的に光速越えるけど」
「お前の転移能力、俺の感覚的に移動ってより交換、交換ってより最初からそこに在る物として変換させる感じなんだが、まぁAB間を移動するCってなら最大距離とほぼゼロ秒ってのを考えれば光速超えてるな」
前者の場合は視界内かつ、ある一定のサイズ重量内であっちからこっちへこっちからあっちへの瞬間移動を可能として、後者ならば周囲への被害を完全に無視するならば宇宙の端に存在する物体を手元に移動させる事が可能で、双方共に光速である秒間約30万キロを越える、何せゼロ秒だ、数メートルだろうが数キロだろうが光年だろうが移動に必要な時間がゼロだ、彼の言うように最初からそこに在ったと言う程の速度とも言えない現象だろう。
その上で剣と魔法が、はたまた拳や槍が強い程度の魔王だとかが出てきても全方向から軽く何万何億トンという圧力を余裕でかけられ、そこらの石ころを光速以上でぶつけてきて、剣で切りかかろうが拳で殴ろうが完全に遮断するバリアー、数の暴力すらモノともしない、どちらが勇者でどちらが魔王か解らなくなりそうである。
魔法に関しても同じくだろう、例えば火という現象なら単純に物を燃やす、ガスやオイルに着火、火薬にナパーム等々、それらは簡単に防げてしまう、そして炎を操るパイロキネシスや炎を生み出す異能でさえ経過は違えど結果の現象は変わらない、魔法だろうが異能だろうがガスや油だろうが温度や勢いに違いが有っても炎は炎で熱は熱だ、ならば防げない道理はない、何せスタートやルートは違ってもゴールも根っこも同じなのだ、これを水に置換しようと土や風、はたまた魔力そのものとかでも物理的な現象ならば軽く防げる。
そして彼の言うように最強のバリアーだ、精神汚染だとか意識誘導だとか、そういう目に見えない物でさえ防げてしまう、その上で仮にバリアーを抜いて心臓や頭部を吹き飛ばしても5秒有れば元通り復活するのだ、やはりどちらが魔王か、いや彼が魔王と言っていい。瞬間移動と死霊術を扱う側近も居る、どんな勇者でも裸足で裸で武器すら捨てて逃げていく、と言うか勇者と魔王が手を組んで逃げていくレベルの絶望で魔神とか破壊神とかを相手にするのと同義だ。