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異能部  作者: KAINE
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大掃除

 立っている者は親でも師でも使えと言うくらいに忙しいのが師走の由来だとかなんだとか、諸説の中の一つでしか無いが基本的に皆忙しいのが12月で特に日本人ともなると訳が解らないくらいには忙しい。

 キリストの聖誕祭を祝い、除夜の鐘を聞いて神社に行く、少なくとも三つの宗教ごちゃ混ぜにできるのは気質が祭り好きだからか八百万の例えでなんでもかんでも受け入れるからか、それこそモスクと教会と神社と寺とが狭い範囲に収まるのは世界的に見ても中々に見ない光景だろう、それも宗教は同じでも宗派が違う物が徒歩数分圏内に有るとかザラなのだ、それこそお遍路で有名な四国八十八霊場等は全てが一つの宗派ではないし西国三十三所もまただ。

何にしても、とにもかくにも皆忙しい、年末商戦への準備やら買い出しやら、お節料理を作る家庭やメーカー、年末特番を各局が準備して蕎麦屋はその日に備えて体調を万全に整える。


 煤払い、或いは大掃除という文化は普段手の届かない細々した所まで綺麗にして新たな気分で年を迎えようなんていう殊勝な考えからか、はたまたこの時期になるとソファーの下だとかレンジフードだとかの汚れが気になるのか、日々掃除はしているから殊更気合いを入れる必要もないなんて家庭も増えたし自動式の掃除ロボットにお任せなんて家庭も有るだろう、だが少なくとも半分くらいの家庭はこの時期になるとなんとなく普段はあまりしない場所の掃除をしてしまうという経験は在る筈だ。


 「次はソファー」

 男鹿家において大掃除は毎年の行事の一つだが実を言うとそこまで気合いを入れる必要は全くない、大の男が苦労してソファーとか家具とか動かして裏やら下やら掃除するのは月に一度でもゴメンだがそんな大仕事を自身はソファーに寝転がったまま可能にする奴がこの家には居る。

 だから週一とかそのくらいで母の号令の元、あっちこっちの家具家電が中を舞い、その間に掃除機やモップが床だとか壁を綺麗にしていく、なんなら師走に入ってから三回目くらいの大掃除で今年度ならばおそらく50に届くだろう、それでも家族揃って基本的に綺麗好きだからか文句も言わずに掃除が進んで行く、一人に関してはソファーの上から動かないがしかし最も動いているのは彼だろう、照明の傘を雑巾で拭き、普通では手が届かない狭い隙間だとかパイプの奥まで磨きあげ、ついでとばかりに家電と家具を動かしている、八面六臂でも体が一つなのだから一ヶ所がやっとだが二階建て一軒家のあらゆる場所を掃除している、例え本人がカウチポテトでテレビを見ていようとも貢献度は段違いだ。



 音矢家の大掃除は基本的に待ちになる、男鹿家の掃除が終わると非常に便利なのが一人、毎年毎年やって来ては掃除を手伝うため用意だけしつつ基本は待ちだ、お隣故にいろいろと面倒もあるがお隣故にいろいろと手は借りている、普通では無理な場所にまで手が届くのは変わらないため掃除はあっという間にではないがかなり効率よく終わるのだった



 影野家の場合は非常に解りやすい、すなわち膂力、すなわち筋力、要するに力、つまるところpower、建設業で生計を立て、建設業で鍛え抜かれた肉体を持つ父と同じく建設業のバイトで鍛えた肉体を持つ娘が揃うと中身が入った冷蔵庫でさえ軽々とだ、そして幾つかの資格を持つためコンロのゴム管だとかシンクのドレンホースだとかの交換は容易くその気になれば壁のひび割れも補修できるし壁紙の張り替えから電気周りまでなんでもござれ、左官からとび、大工、電工、小さい会社に勤めるが故にオールマイティーを求められた結果、建設業ならばおおよそ全てに適応して不可能と思うのはせいぜいが釘を使わない伝統工法とかくらいで一般的なマンションの一室を綺麗にする程度ならば余裕で可能となる。

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