野郎共の日常その4
「ビール大二つと枝豆、後は焼きそば、焼き鳥盛り合わせ、豆腐サラダで」
「ご注文繰り返します、ビール大がお二つ、焼き鳥盛り合わせと焼きそば、豆腐サラダと枝豆ですね、かしこまりました! すぐにお持ちします」
「命の借りが居酒屋ってどうなんだ? お互い30過ぎた良い年した大人なんだからこう、オシャレなバーとかさ、その辺りかと思ったんだが?」
「いや飯食ってないしそういう所だと腹は膨れないならな、そういうのは軽く食って二件目がベターだろ? まぁ行き付けのバーとかロック系じゃなくピアノバラードなライブハウスも無いからネットで調べてになるんだが」
「そういや俺もなんだかんだでバーは行った事ねぇな、アメリカやイギリスでパブなら在るが」
「俺もパブは連れていかれたな、向こうのビールが口に会わなかったが」
「あー、なんか薄い感じするよな、製法とかなんだろうが日本のに慣れてると違和感アリアリだ、まぁ向こうの人も日本のビールクソ不味いとか思ってるんだろうが」
「まぁ食の好みって国柄プラスその人次第な所あるしな、お前も経験在りそうだがアメリカとかの日本食レストランで寿司出たと思ったらスイートチリソース掛かってるとかさ」
「フランスでフォアグラテリーヌにラタトゥイユ乗せた軍艦食った事有るな、旨かったし日本人だけはそれに文句付けようもないが」
「その心は?」
「カレーと中華料理を筆頭に食い物に関してのやらかしってたぶん日本のお家芸だからな、オリジナルとかクソくらえで魔改造しまくってる、むしろスイートチリソースだろうがラタトゥイユだろうが旨いなら受け入れてさらに魔改造するのがお国柄な所が在るし伝統がなんだとか抜かしてる奴はとりあえずインドとイギリス行ってカレーに関して土下座して来る所から始めねぇと道理が通らん、それこそフレンチに隠し味として醤油や味噌入れてるレストランも少なく無いだろうし本場から見りゃ何してんだテメーってなるだろ?」
「なるほど、それ考えれば寿司と名の付いた別の何かに文句の付けようもないな、と言うかツナマヨだのコーンマヨだの軍艦巻きにしてるのを気にしない国がスイートチリソース程度で怒るとかちゃんちゃらおかしい、ピータンとかブルーチーズ乗せられてたとしても旨いならってのは確かにそうだ」
「流石にピータンは厳しい気もするがな、基本なんでも食う親父が一口でノックアウトされたの見て食おうと思わなくなった数少ない物だし」
「俺も大学時代に罰ゲームで一度だけ食った事が在るが、旨いとか不味いとか越えて体が拒否反応を起こした、鮒寿司とかの方がまだマシだったと思える」
「でも毒じゃないから良いじゃねぇか、少なくとも死なねぇし、まぁ俺の場合、毒でもフグの肝とか旨いから色々と感覚狂ってきてるが」
「お前と御内儀は何時でも何処でも狂ってるよ安心しろ、後フグの肝とかどうやって食った、出回る筈がないだろ」
「自分で捕まえれば手に入るじゃん、菜慈美によると俺のテトロドキシンの許容量は一般的な致死量の1.8倍まで強化されたらしい、因みにハブなら四匹同時に噛まれて毒を全量注入されても死ななくなった、死ぬほど苦しいが」
「今確信したがお前の体と精神と心が一番の異常だ、空飛べるとか生き返るとかお前自身に比べればなんて事がないと断言できる」
「国内の自然毒の抗体以外は年相応だぜ? お前みたいに訓練してる訳じゃねぇし営業マンみたく歩き回る訳でも無いからむしろ身体能力は落ちてる、それこそ今お前と100m走で競えば勝てないだろうし同年代でも平均やや下辺りだろうさ、昔より弱くなったし脆くもなった、デスクワークって感じじゃないが椅子に座ってる弊害だな」
「今のお前と徒競走して勝っても嬉しくは有るんだろうが達成感はないだろうな」