修学旅行の日常その5
「ヤバイ、今すぐ出たい」
「オーガ、まだ入ってから一分も経っていませんよ? もっと汗をかいてからじゃないと」
「いや無理だろコレ、俺はケバブとか蒸し焼きになりたくない」
「んー、まぁ無理は禁物ですからね、しょーへきで少し調整すればどーです?」
「サウナに入ってソレって意味なくない? もっと楽しまなきゃ」
「俺もう出るわ、んで風呂で大人しくしてる」
「あんなに毒やら爆発物やらに耐性持ってるのに堪え性がないと言うか、意外だな」
「熱いの苦手なんですかね? ノゾはへーきです?」
「俺はたまに銭湯とか行くからな、サウナは好きな部類だ、と言うかアイツが弱すぎる、初めて勝ったのに全く嬉しくない」
「板田の負けず嫌いとサウナってかなり危険な香りがするわね、後から入って来た人相手でも維持張ったりしそうで」
「そこまで俺の負けず嫌いも筋金入りじゃないさ、それにサウナは自分との戦いに近い」
北海道三日目の夜、泊まった旅館に在る混浴の文字に吸い寄せられた は水着レンタルの文字と必ず着用の文字に肩を落としながらも迷いなく暖簾を潜り、友人が問題を起こしてはと板田が付き添い、楽しそうと飛び込んだリリーのお目付け役として菜慈美という面々は入り口こそ同じだが入って直ぐに男女に別れた更衣室で着替えて、そのまま混浴温泉でバッタリと出会う事になる、まぁ は既に障壁の位置と空間の歪みで把握していたし彼の性格を知る女子二人も予想済みなのだが、板田も居るのは少々驚きだが別にそれを問題にすることもない。
そのまま片隅に在るサウナルームを見つけたリリーに連れだって四人で入り、一人が五分を待たずに消えたというだけだ。
「しかしアイツのお目付け役も必用だしな、流石に修学旅行先でバカはやらんだろうし常識は持っているが、何かの拍子にトラブルに巻き込まれたり呼び起こすからな、俺も出るとしよう」
「んー、よろしく、最悪声かけてくれたらミンチにしてあげるから」
「ジミー、minceがただしー発音です、Ceです」
「mince、コレで良い?」
「goodですね、後minceはグロいですからpoisonでよろしくです」
「毒はあんまり持ってきてないのよね、流石に手に入らないだろうしアイツの耐性だとこの辺りの毒草なら三倍まで耐えるし即効性無いから意味無いわね、案外殴るとかの方が早い?」
「ならノゾにお任せですね、リリーだとdamageになりそーにないですし」
「体格差は在るから板田でもそこまでって感じでしょうね、カゲちゃん居るなら任せるけど」
「あー、クロクロはおっきぃですからね、daddyより大きい人、日本人だと初めて見ました」
「男鹿より少し高いくらいよね? 190くらい?」
「6.4ftですね、センチだとどのくらいです?」
「193cmってところね、康男のお父さんより少し高いくらい、カゲちゃんより遥かに小柄だけど」
「オーガのdaddyおっきぃですか?」
「康男と僅差で勝つくらいね、まだアイツ延びてるから抜くかもだけど」