野郎共の日常その3
「そう言えばかなり昔に後輩が唐突に俺が主人公になれないなんて言い出した事が有ってな」
「どうしてそんな事になったのか解らんが、それで?」
「アニメとかのお約束俺はから普通の高校生の所で出落ちだと」
「あー、まぁギャグになるな」
「人の名前捕まえてギャグはどうかとも思うが俺も長いとは思うから無視するとしてだ、今さらながらに確かに俺は主人公の要件を満たしちゃいねぇんだよな」
「主人公の要件?」
「端的に言えば本気で生きるって所か、迷っても困っても負けても悔しくても勝っても泣いても笑っても、本気で生きて本気でぶつかり、だから回りも御輿と担いで着いてくる、それをお約束だの構成の都合だの言い出したら切りがないが俺には逆立ちしてもそんな生き方は無理だろ」
「それを主人公の条件とするなら確かにお前は片手間に生きて片手間に死んでいくだろうから無理だな、で、当時はなんて答えた?」
「失礼な、人間は誰でも主人公、なんて答えた覚えがある、んで菜慈美指してソイツみたいなヒールばかりじゃねぇと」
「ヒールと言うかヴィランのソレだと思うがね、それも悪も悪、カリスマだとか偽悪だとか憎めないとかじゃない純粋の」
「まぁ俺以上に堪え性無いからな、野放しにした日にゃ何人殺すか解らん、俺も人の事言えねぇし言わねぇが山積めるだろうな、だって俺だけで三桁殺してんだぜ?」
「お前だけの死体の山とか狂気の産物でしかないな、アレだろ、爆死して手足とか吹き飛んでたり毒で泡吹いたり顔色おかしかったり、体に変な出来物とかできてたりミンチになってたり、そんなのが山と積まれてんだろ? 壮絶な地獄絵図以外の何物でもないな」
「飯食いながらそんなグロい光景をよく想像できるな」
「お前さんが大量殺人してその足で飯食いに行けるのと同じだ、スプラッター映画見ながら夜食とか食ってきたから慣れた」
「それに想像だからな、臭いも実害もないなら気にもならん、実物はどう頑張っても用意できんしお前の死体も見慣れたものだ、見慣れたくは無かったが」
「俺の死体に関しては俺は悪くないと思うんだ、そりゃあ馬鹿やったり言ったりする事も有るし自覚はしてるがそれを理由にパイプ爆弾が腹の中で爆発するとか誰が信じる?」
「俺とか深井君やジョンソンさんは信じるだろうよ、なんせ何度見たのか解らないからな、お前の熱い血潮とやらを何度受けたのか数えるのも面倒だ、最初は流石に吐いたし飯も食えなくなったが今や『あぁまた爆発してるな』くらいだよ」
「言っておくが痛みや恐怖を感じない訳じゃ無いんだぜ? 意識が消えるまでの数瞬でも吹っ飛んだ体を見るってのはかなりショッキングだ、認識とほぼ同時にブラックアウトするから記憶は朧気だが何度も体験すりゃ嫌でも焼き付く」