表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異能部  作者: KAINE
171/207

西岸高校の日常その10

 テストは憂鬱な物というのは基本的に何処の学校の生徒に聞いてもイエスと答えるだろう、勉強好きだとか結果を出したいという者も少なくない数が居るのは認めないとならないがクラスに一人か二人か、進学塾だとか勉強に力を注ぐ学校の類いでようやく半数を越えると言った所だろうか、日々の勉強や復習予習の差が、理解力や記憶力計算力の差が明確に数字として現れるのがテストだ、特に学力テストとなるとその範疇から外れる事は無いだろう。

 学校でのテストと言うと教室に机と椅子を並べて机の上には筆記具と数学等で必要なら定規やコンパス分度器や計算機のみが認められ、それ以外は例え時計だろうとメガネケースだろうと許されない、例外が有るのならば持病の薬だとか盲目故に必要となる点字タイプライターだとか、そういった物くらいでテストに必要の無い物は置いている時点で別室送りもやむ無しだ。

後は監督官となる教員が一人か二人か見回って黙々と目の前の答案用紙を埋めていく、抜き打ちテストでも無いならばこういった光景になるだろう。


 だが異能者相手となると話は大いに変わってくる、何せ相手の動きが手に取るように解ったり回答用紙に残った思念を読み取れたり、はたまた使役したハエを目にしたり、カンニングの手段が他の生徒とは全く違う、だからこそ公的な試験を異能者は受けられず例外的に運転免許や無線、各種重機やリフト、危険物取り扱いや玉掛溶接等の一部の免許取得のためのテストのみが許されているだけで、例えば公務員や医師、弁護士等には逆立ちしてもなる事はできない、少なくとも現行の日本では不可能で世界を見ても一つとして存在しない。

 とまれだ、西岸高校は県内でも数少ない異能者を受け入れる学校としてその辺りのノウハウが有る、具体的には異能を持つ生徒を空き教室に隔離して他の生徒と微妙に異なる問題が用意されたテストをわざわざ担当教科でない教員がコピーしてまた別の教員が中身を見ない様に運ぶという念の入れようで準備して行う、流石に抜き打ちだとそこまではしないが中間期末や入試はこの方法で行っている。

現在は三人しか居ないがそれでも一人一部屋使ってのテストはスペースの無駄とも思えるが過去には十人も異能者が居た事もあり体育館だとか視聴覚室、時には校長室まで使って対応しており、過去数十年も積み重ねたノウハウは今も尚生きている、おそらく県内では最古の受け入れ校として、また県内最高の偏差値を誇る受け入れ校として生徒達に多少の不自由はさせても学業を修了できるように最大限の努力を注ぐ、その理由は経営者一族に異能者が居たからだとか子供は学ぶ権利が有るという信念に基づいてだとか言われているが当時の理事長は既に墓の中でその孫が現在の理事長というくらいには受け入れを始めたのが昔の事で残念ながら詳しい事情までは解っていない。

少なくとも一族に異能者が居た居ないを発表した事は無いし理念を高らかに喧伝した過去もない、排斥運動に対して頑として立ち向かい理事長以下教員達が矢面に立ってきた事実だけが語られているだけだ。


 さて、空き教室その一で菜慈美がその二で沈華がその三で がそれぞれ三者三様に答案用紙と睨めっこをしている、サクサクと解答を記入する者、渋面を作って頭を抱える者、何度目になるのか解らないチェックを裏表合わせて行い暇潰しに鼻歌混じりの者と、一人に関しては普通に教室で他の生徒と受けているなら邪魔でしかないが幸いにして監督官と二人きりだ、見咎める事は有っても邪魔にはならない、許可が出るなら早々に解答を渡して適当に校内でも歩き回るなりしていただろうから大人しくはないにしても椅子に座っているだけマシというものだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ