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異能部  作者: KAINE
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西岸高校の日常その9

 西岸高校が一般的な高校と異なる点を上げるとするならば私立校だとか、それなりの自主性が生徒に与えられているだとかではなく、特異なコマ割りとテストだろう、通常高等学校の授業コマ割りなんてのは国数英理社と体育くらいで細分化して古文だとか数ABとか化学科学だとか歴史と社会構成だとか、だいたいがこの程度で専門校なら家庭科や音楽に力を入れつつの配分になるだろう。

 では何が異なるかと問われれば道徳の二文字に尽きる、他の学校でも教えていない訳では無いだろうが全学年毎週一コマなんて頻度かと問われれば微妙な所だろう、国語や社会の授業の中に紛れ込むのが大抵で特別授業的にコマを割り振る事は有っても常駐させるとなると稀有な部類に入る筈だ。

だが創設者の理念の中に高い自主性高い教養、そして倫理的な価値観を持つ者を輩出するという考えから文武両道、武にやや片寄るな形にはなれど全ての部活でラフプレーを好まず、ファウルを恥とし、常にフェアに、しかして十全に相手を調べる事を許容し、相手に調べられる事を誇りとするように教えている、当たり前だがだからと言って全くラフプレーが無いなんて事はないし、ファウルやカードが出る事もゼロではないが少ないのは間違いなくそのフェアプレー精神は高い道徳心と倫理観から来るのだろうと言うのが近隣校や近隣住民の見立てで当たらずとも遠からず、的のど真ん中ではないにしても端の方でもない。


 とは言えだ、何処にでも何時でも例外というのは存在するし落第生だとかも枚挙にだ、誰にでも得意不得意は有るし片寄りもある、武将の名前や逸話を知っては居ても何年の何月に戦に出たとかは覚えていないとか、川中島の名前は知っていても何県に有るのか解らないとか、その程度の事から基礎はできても一捻りで苦戦のような良くある光景や、簡単な関数と思わせておいて別の公式を必要とするような引っかけに躓く等々、パターンを上げれば切りが無いし単に国語は得意だが英語は苦手のような物まで含めるなら千差万別、生徒の数だけ例外は存在すると言える。

 しかし基本的に道徳は社会通念的な思考や倫理的な思考を持って居るのならばテストで得点を重ねるのは難しくはない、満点が取れたから現実的に差別だとかに立ち向かい納得する答えを出せる訳では無いが例えば餓えた者を前にして行った方がいい事なんて問題にとりあえず手持ちの食糧を渡すなんて解答を出すのは難しくはないしそれを間違いだと断じる奴は稀有だろう、彼が彼女がその境遇から抜け出す算段だとか魚を捕り作物を育て手に職を持つ方法なんてのは一先ず何かを食べてからでも遅くはない、飲まず食わずで働ける訳がないし勝手に作物を植えていい土地が目の前に現れるなんて事もない、当然ながら魚を捕るにしても漁業権の関係から目溢しされて釣りくらいだろうし場所によっては1日券とか買って楽しむ場合もある、道徳問題に百点は無いが零点は間違いなく存在する、例題に答えるならば足蹴にして唾を吐きかけるなんてのは間違いなくバツを貰うだろう事は言うまでもない。


 しかし例外と言うならばその程度の可愛い物ではない、マイナスに振り切るくらいのが居るのだ、問い、餓えた者が目の前に居て己が富める者ならばどうするか? 解、これ以上苦しまぬよう毒を与える、そんな答えを出す奴が居るのだ、法律とか倫理観とか何処かに置き忘れてそのまま焼却炉で灰になったのかと問いたくなるようなのが も人の事をとやかく言えるような立場ではないし相手が敵対しているならばその答えも容認するし実行するが建前と本音の使い分けくらいはできる、腹の底でどう思おうとオブラートで包んで美しく加工した答えを出すのは比較的簡単だ、だと言うのにそれが面倒だとか、考える事すら虫酸が走るなんて臆面もなく言ってのける、そんなのを前にして何をどう導き教えれば良いのか、心中お察しとしか言えないし実害無いだけマシとしか思えないが誰にもどうこうできるものではない。

故に、今日も今日とて、毎度の様に何時もの様に飽々するくらいに繰り返した様に音矢菜慈美は補習だ。

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