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異能部  作者: KAINE
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短編集その5

 男鹿松平兼守家に欠かせない物として紅茶と龍の髭飴と大量の煙草類が有る、葉巻にパイプにキセルに煙草それぞれにそれぞれのお気に入りの銘柄のソレが大量に常備されていて無駄に場所を取っている、と言うかリビングの棚の一つが酒と煙草で埋まっているのだ、それもちょっとしたカラーボックスなんて目じゃない高さ2m20cm幅1m奥行き40cmという天板とかの厚みを加味してもガチガチの棚でそこに大量の太い細いを問わない葉巻に数種類のシャグ、数本のパイプとキセルに複数の銘柄の煙草がカートン、さらに数種類の酒が並んでいる、仮に空になるまで買わなければ年単位で持つが量が量だけに誇れるような事でもない。

 何せ煙草なら日に一箱近く消費しそれに加えて葉巻を一本か数本、パイプを数回は吸うヘビースモーカーっぷりは家族をして死を金で買ってると称する程度には酷い、しかしそれらを楽しむ当の本人はと言うと楽しんでいるのだからそれ以上でも以下でもなく今日も今日とて煙を燻らせる、吸って吐くだけの物に金を出し命と時間を浪費していると言えば聞こえは悪いが否定するには少々と言わずに苦戦する、流石に一本辺り五分は寿命を減らすなんて事は無いだろうが吸えば吸う程に肺癌のリスクは有る、副流煙とか色々と問題もある、ある種の自己満足の集大成の様な物だが様になるかと言えば微妙だろう、何せ長身パンチパーマ黒人がロックグラスを揺らして煙草を咥えているのだパジャマでジャズを聞きながら、俺からすると見慣れてるから様になるとかならないとかは判断が着かないが菜慈美によると悪くはないらしい、試しに写真でも撮って知り合いに聞いてみたら様になってる以前に灰皿ヤベェとか健康に悪いとか筋肉に悪いとか明確な答えは出ないままだ、と言うか人種はともかく髪型とヨレた縦縞パジャマがネックなんだよな、パンチパーマだと勝手ながらビールとかの方が似合いそうだ、そしてヨレた縦縞パジャマがそれを加速させている感がある、ビール以外ならチューハイくらいが合いそうだ。



 どれ程掃除に気配りをしていても出る時には出るのがゴキブリという生物だ、食べ残しに釣られたりそうでなかったり、とにもかくにも対策をどれ程講じても完全にゼロにはならない、仮にそれが可能になるのだとしたら生息していない地域か超高層マンションの上層かでそれでも少しずつ生息域を拡げていくのがかの生き物で生息していない地域にも様々な方法で入り込んで環境的に酷しくとも何らかの形でコロニーを形成し超高層でもパイプ等を伝って少しずつ登っていく、極論を言えば他の生物が不自由無く生きていける環境ならば問題なく繁殖まで可能にするのが彼の生物でだからこそ黒い悪魔だのと呼称される。

 男鹿松平兼安家においてもそれは変わらない、家族揃って綺麗好きで週に一度はソファの下まで掃除するし食べ残しや野菜屑等もその日の内に袋詰めされて密閉容器でゴミの日まで外に出る事はない、何よりも家の周囲は地下まで含めて障壁で守られている、守られてはいるのだが流石に特定の生物だけを防ぐ程には万能ではない、サイズや重量である程度は防げるだろうがそれをすると服に着いた虫とかカオダニ等を理由に全員が行き来できない、故に穴は有るのだ、一定のサイズ以下の生物を通さず一定のサイズ以上を通すと規定してもその規定より小さいサイズならば問題なく通れるという事になる、生まれたばかりでさらに小さい個体ならば難なく侵入してしまえるという訳だ、逆に大きい方なら人類は当の昔に絶滅しているか発狂しているだろう、何せ最小で子猫より大きなゴキブリとかになるのだから恐怖でしかない。

とまれ、入り込んだ物はどうしようもない、と言うか完全には防げない以上は入り込むと想定して罠やら対策やらを用意するのが最適解でより細かく設定しても良いが生活し辛くなるだけだろう、だが悲しいかな部屋の角だろうとパイプの中だろうと見逃さない鷹の目すら越えるのが俺だ、何処に現れようとお湯を流し込むし最悪でも我が家には最後の砦にして最強の狩人たる雪美が居る、その猫パンチで一瞬にして仕留めてそっと枕元とかに置いていく、目覚めドッキリとしては物凄く質が悪いのだが彼女からすると狩りが下手な下僕へのお恵みである、感謝しつつ見えない所でゴミ箱に投げ捨ててオヤツを少し増やしてやるのが正しい作法だ、例えそれが物凄く心臓に悪くとも彼女に悪気はないどころか純度100%混じりっ気無しの善意なのだから。



 自室というのは個性が物凄く出る場所の最たるでゲーム好きならゲームが並ぶだろうし整理整頓好きなら何時でも綺麗に本や服が仕舞われていて、おおざっぱな奴ならケースと中身が合致していない等、本当にそれぞれの特色が出てソイツが何に重きを置いているかの指標程度にはなる、少なくとも自分が嫌う物を自室に置くと言うのは恩人の形見だとかそういう理由がないならばしないし、お気に入りの物でも保存用だとか観賞用の様な用途を気にしないのならばマニア垂涎の貴重な物でも普通にケースすらなくテーブルだとか本棚に直置きするだろう。

 壁に掛けられた賞状や棚のトロフィー本棚には使い込まれた参考本や問題集に図鑑、そしてズラリと並んだ格ゲーのパッケージと新旧問わないアケコン、メンタリズムを用いる迄もなくこの部屋の主は格ゲー好きで勉強熱心で様々な賞を勝ち進んだと解る、これが参考本が真新しく読まれた形跡が無いとかなら勉強熱心なのはご両親の何れかだろうと察しは着くし兄弟と同室なら兄か弟かの趣味も混ざっていると判断ができる、その上でコイツはよく知ってるからな、今さら驚く事もない、せいぜいが意外にも漫画の類いも多いってくらいだな。

 「んで、いきなりどうしたよ」

 「少し不安でな、成績は維持してるし判定もAを維持してるがやはり本番が近付くと緊迫してきて集中できん、思いっきり気分転換して後はお前に預けようかと」

 「そのくらいなら構わんよ、ところで、ハメは止めようぜ大将」

 「ハマる方が悪いんだ、こちとらフレーム単位コンボ維持してるんだ」

 「こっちは延々とフレーム単位でジャスガ入れても隙無いんだよ」

 「そりゃ鈍足だからな、こっちはこっちでステキャンがシビアなんだよ」

 「知るか、残りHP切れる前にミスったら覚えとけ、その紙耐久で弱パン掴み吸いコンボ耐えられると思うなよ」

 「HPバー残り数センチで言える台詞か? このまま落としきってやるよ」

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