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異能部  作者: KAINE
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朝の日常その1

 音矢家の朝は早い、と言うか朝と夜の境目が曖昧だ、何せ父親は時差が有る国に年の半分は出張しているため季節とか時間とか曜日感覚が壊れ気味で、母親はエッセイの執筆に勤しみ朝も夜もない、娘は寝落ちするまで読書に励む故にそれぞれがそれぞれに朝も昼も夕も無いのだが一応は学生の身分を享受する娘が毎朝7時には起きて色々とやっている。

 顔を洗ったり自分と母親と居るなら父親の分の朝食を(と言ってもトーストと紅茶くらい)を用意しておくだけだが、ついでに昨日用意しておいたおかずをお弁当に詰めてご飯を詰めて適当に卵焼きも詰めて冷ましておく、まぁメインのおかずは母親が夕飯のついでに作った煮物だとか焼き魚だとかだから手間は盛り付けと卵焼きくらいだ。

さりげなく自分のお弁当に卵焼きを一切れ多くいれつつ小さな容器に醤油とトリカブトから抽出した毒を混ぜた物を容れておく、後は無様にもお昼の時間に警戒しながらも彼女の手料理を受け取った被害者がのたうち回るのを見て嘲笑してやるだけだ、それをだけと言っていいのかは別問題として。


 とまれ朝食を終えて後片付けも済ませるが机を共にする筈の父親は現在ロシア辺りで仕事中か同じく朝食中で母親はつい数時間前に〆切を過ぎて担当から鬼のように催促されながら執筆中だ、残念ながらトイレ以外で部屋からは出る事ができないだろうし残りが何ページかは解らないが書き終わるまでは動けないしそれが終わっても次のエッセイの案を練るので動けない、トレーに乗せて運ぶと言う方法で部屋まで運びついでにお弁当も運んでおく、流石に昼には終わっていると信じたいが帰宅してソファで死んだように突っ伏していないならば担当がいい笑顔で真後ろに立って腕を組んでいる事だろう。

 どちらにしても今日の夕飯は菜慈美が作るかそうでないなら宅配ピザでも取るかレトルト食品を暖めるだけか、極力母親に負担の無いパターンになるだろう、と言うか担当が乗り込んで来ていて夕飯時でも地獄が繰り広げられている可能性は小さくない、遅筆の作家にタイトなスケジュールは無理が有るし余裕が有っても無理がある、おそらく年単位で猶予を与えてもなんだかんだと先伸ばしにして気付いたら白紙のまま〆切まで残り数週間なんてのも珍しくはなさそうだ。

燃えるゴミを集積所に出すため玄関先に纏めて素早く身嗜みを整える、顔を洗うついでに確認はしているが寝癖なんか付けて登校はしたくないし時間に余裕があるならば枝毛とかも確認している所だろう、髪型に関してはショートボブをそのままにだから編み込んだりする手間はないが時間は十二分にかけている、それでも7時45分頃にはおおよその準備身支度も整い、何時もの様に家を出る、若干遠回りと言うか逆方向に歩く必要は有るが決められた集積所にゴミを出しておく、これが なら目線一つで、いや目線すらなく浮かせてポイだが彼女の場合ゴミ袋のサイズ的に可能だがそこまで面倒臭がりでもない。

 「おはよう」

 「あぁおはようお義姉、お兄ならまだ紅茶飲んでた」

 「あらそう、まぁ別に一緒に行くわけでもないのだけど、まだ遅刻するような時間じゃ無いし放置で」

 「お兄は最悪飛んで遅刻回避できるしね、便利で羨ましいけど面倒くさそうっていう二律背反だよ」

 「アレは特別面倒なだけよ、私くらいじゃたまに白い目で見られたり因縁付けられるくらい、まぁせいぜい便利使いしてやりなさいな」

 「昨日ベットの下掃除してもらったなぁ、今日はクローゼットの裏の予定」

 「ってそろそろ行くね、また会えたら夕方に」

 「ん、行ってらっしゃい」

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