クリスマスの日常その3
「このっ、意外と新会長がやり込んでやがる」
「残念そこはトラップよ」
「またですか、意地が悪過ぎますって」
「射線切ったら此方の勝ちでしょ」
パーティーゲームではないが一つの画面を用いた対人のfpsは存外と言うか順当に盛り上がる、四分割されたうち、自分の画面だけを注視すると敵の思わぬ罠に引っ掛かるし逆に敵の動きを見すぎると行動やAIMが定まらずカモになる、下手に隠れられないし隠れても直ぐに見付かるため隠れる意味は無いのだが強ポジ維持しつつ相手を翻弄できれば基本は勝てる、ただ相手が凄腕だとヘッショで終わったりもするが。
同じようにトラップを上手く扱えば意図していない瞬間に倒せるし誘い込みや意識誘導で有利になる、仕掛けるのに時間を要するし仕掛けている所を見られると意味はないが処理には弾丸を当てるなりする必要がありその瞬間は明らかに隙になるだろう、それを逆に利用も可能だが読み合い騙し合い撃ち合いは下手なバトルゲームより盛り上がったりする。
適当に食べ物を摘まみ、適当に飲んでお約束とも言えるプレゼント交換を終えて後はドンチャン騒ぎのゲーム大会だ、まぁプレゼント交換に誰もネタを仕込まなかったからこそだが、ゲンナマで百万とか考えはしたが流石に自重して紅茶セット、他も手製の毒とか何かの剥製とかプロテインとか予想したが髪留めとかの当たり障りの無い物で俺に髪留めが当たれば笑い話にもなったんだろうが普通にロリっ娘に行ったからな。
「次コレしたいですね、私のカレーな連鎖を見せて上げます」
「それなら私にも心得が有りますね」
「落ち物パズルは苦手なんだよな」
「それを俺の前で出すとは勇者か? どれほどやり込んだか解らんぞ」
「確か訓練で使ってるんでしたっけ、アケコンでサイコキネシス使って」
「おう、咄嗟の反応と壊さない加減を掴むには良いなと、加減だけならウズラの茹で玉子の殻剥きだが」
「因みに剥いた玉子って」
「親父が酒のツマミにしたりサラダに入れたり燻製にしたり色々だな、まぁ10個くらいだし俺がオヤツ変わりに食う事も有るが」
「そのくらい繊細にならんとお前の場合は危なっかしいからな、最低ラインがもっとずっと上なら何人殺してるか解らん」
「何千じゃねぇの? 死体の山なんぞ築いて誇れるもんじゃねぇが最低ラインがもっとずっとかなり上なら日常生活が不便な上にアホに狙われるって生き地獄だろ、しかも死ねないし」
「この機会に聞きますが死の感覚ってどんな感じなんですか?」
「難しいな、即死だと感覚とかないしゆっくりだと全身から力が抜けて行くって言うか視界が一気に暗くなると言うか、難度体験しても慣れないってのは確かだな、死んでからは知らん、死んでる間の数秒は感覚も記憶も無いからな寝てるのと同じだ」
「ネクロマンサーとしては死んでからも念が少しは残るんですけどね、明確じゃなくて癖と言うか習性みたいな物が、この子とかもたまに勝手にとぐろ巻いたり軽く締め付けてきたりしますし」
「あぁ、そういや完全な操り人形って訳じゃ無いんだったか」
「命令権は有りますし強制もできますが細かい所は本人? 本動物の自由意思がある程度介在します、たぶん生きてる個体よりは緩慢で我は少ないですけど、それでも生きてた頃の記憶が残ってるのか部屋でもお気に入りの場所とか決まってるみたいですし触ると逃げるような仕草する所とかも有りますね、小動物でこれですから人間なら会話は無理でも首を振るくらいはできるかもですね、倫理観的にやろうとするネクロマンサーは居ないでしょうけど」
「まぁネクロマンサーって大抵サイズと使役数が強度限界で出るし平均して犬くらいだったか? 後は距離と感覚だっけ?」
「ですね、まぁさらに細かくミイラ限定とか欠損個体使役不可とか有るみたいですし、何より死体とかできるだけ触りたくない見たくないって人が多いんで実質無能力と変わらない人が多いって聞きました」
「つまり深井君の様に常時侍らせるネクロマンサーは稀有と?」
「そうですね、と言うかネクロマンサー事態が異能の中だと稀有なんで日本でも十数人くらいですから」
「まぁ基本的にイメージする予知とサイコキネシス、テレポートアポート、サイコメトリー辺りが大半だしな、変なのだと水中呼吸とか壁面歩きとかも居るが」
「オーガは水中呼吸も壁面歩きもできますよね」
「そりゃ余裕でできるぜ、複合でなくてもサイコキネシスってだけで汎用性が半端なく高いから」
「くっ、会話しながら8連鎖とはやりますねオーガ」
「お前さんこそ同時消し込みの7連鎖で相殺とは中々にできるな」
「くっそ積んだ」
「ここで6、少し足りませんがまぁ良しでしょう」
「ハイレベルな戦いしてんな、見てて飽きん」
「そう? 私的には相手ハメ倒せないのって滾らないんだけど」
「そりゃ、っと、お前みたいに性格悪いと相手手玉に取ったり一方的なのが楽しいだろうが血沸き肉踊る攻防のが熱いんだよ」
「ジミーはそこがいーんですよオーガ、毒無いジミーなんて面白み無いです」
「あら? 私毒以外に魅力が無いの?」
「Oh、ゴメンなさいです、他にも一杯有りますが一番はやっぱりその明け透けな悪意隠そうとしない真っ直ぐさですね」
「そりゃ歪んでるってんだ舶来、コイツが真っ直ぐなら俺なんか一本線だぜ」
「違いが解りませんね、どっちもどっちだと思いますよ部長」
「いや、ニュアンスは伝わるでしょ? 沈華」
「真っ直ぐどうこうじゃなくてどっちも曲がりに曲がって捻れてるって事」
「なる程な、メビウスの輪よろしく循環するレベルでグニャグニャだ」
「てめぇら俺が手一杯だからって好き勝手言いやがって、良いのか? 俺だけならまだしもリアルに毒持ってるのがそこに居るんだぜ」
「ふふーん、オーガはまだまだ甘いですね、リリーはジミーの毒に耐性持ってますからヘーキです、それにジミーが毒使うのオーガだけなので早く死んでください」
「とうとう毒吐いたぞ、このロリ、染まりすぎたろ、ってか地味に副会長ちゃんのジャブがウゼェ、半端に残って連鎖止まる」
「クロクロ意外にやりますね、ここまで苦戦したのリリー初めてですよ」
「そうですか? 母の方が私の倍は強いですから比較できないんですが」
「まじかよ、言っておくとこの手のパズルゲーで俺はかなり強い部類でゲーセンのアーケード版で対人してそこそこ勝ち残れるくらいには強い、一人落ちて三人とは言えそれと互角くらいには戦えてる奴の倍って世界ランカーか何かかよ副会長のお袋さん」
「この倍ってちょっと勝てる気がしませんねー、リリーも強い方だと思いますが」