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異能部  作者: KAINE
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空の旅の弊害

 空を飛ぶという行為には多大な責任が有り、自由に飛ぶなんてのは限られた区域限られた時間にだけ許されていて許可を取るのも物凄く大変になる、単にラジコンを飛ばすだけでもそこらの公園で飛ばそうものならお巡りさんが飛んできて条例だのなんだので注意されるし最悪は罰金とかも有るだろう。

 車やバイクのような平面的に加速する訳ではないが落下エネルギーはバカにならず安物の小さなドローンの様な物でも墜落して誰かに当たれば打ち身や切り傷くらいは負うだろうし大型の物になれば重量が増す分だけダメージも増える、ラジコンですらそうなのだから例えばエンジン無しのグライダーとかでも登場者と合わせれば数十kgは余裕で小型のヘリやセスナなら百は容易い、それが上空から落下してきて下敷きにでもなればどうなるかなんて子供でも解る、故に航空法だの免許だので最大限に安全を担保して、それでも事故は起こってしまう。

 幸いにして空を飛んでいて電柱だとか歩行者だとか街路樹にぶつかるなんて車やバイクの様な事故は物凄く低空を飛行しない限りは起こらないが鳥とか風船とか風に巻かれたゴミとかならぶつかる事も有るだろう、そしてそれらは下手な銃弾より凶器だ、万が一にもエンジンに入り込んで故障でもした日にはちょっと路肩に止めてレッカー車が来るまで待とうなんてのは空じゃ不可能で単発機なら熟練のパイロットでも不時着は至難の技だろう。

飛行機と飛行機の対面事故となれば過去の例を見るまでもなく大惨事の三文字以外の何物でもなく軽くコツンと触れた程度でも双方ともに修理行きだ、そんな空を生身で飛ぶのには慣れていて、同時に飛行機の形した何かを飛ばすのにも慣れている、音速を越える程に急いでないなら旅客機が飛ぶような高高度は飛ばないがそれでも飛ぶには事前の許可取り必須でルート上の各管制塔なんかと連係取りつつでこの辺りは普通の飛行機とそうは変わらない、基本は予定通りの進路を予定通りの高度と速度で飛び、天候だとかで多少の変更は有るが基本的には管制官の判断従い飛ばすだけだ、ただ一点異なるのはオートパイロットは無いって点だな、常に速度や高度を維持しながら浮かせる必要がある、まぁその辺無視して生身とか車とかで飛ぶ事も無くは無いが高度的に飛行機と鉢合わせってのは無いしヘリは例外だが避けるのは難しくはないからな。


 さて、何にしてもだ、席を離れられないという欠点を除くならば空の旅は快適だ、何せ信号も曲がり角も基本的に無いからな、天候にさえ恵まれるなら目的地まで一直線ってのは地球が名の通り球形だから遠回りになるんだが、ともかく最短距離で行ける、それでも数時間は座りっぱなしだからな、紅茶も飲めれば飯も食えるがCAなんぞ一人も居ないしレンジは勿論冷蔵庫すら無い、事前に持ち込むくらいしか飲食は無理だ、その点だけを見るなら航空会社に任せるのが楽で良いし手続きだのなんだのもそっちの方がどれ程楽か解らないし維持費とか考えると長距離移動が多発しないなら損しかない、まぁ手荷物とか持ち込み放題ってのは大いに魅力だし準備さえ済んでいるならマッハで飛べるから移動時間は短いんだが。

 後はもうエコとかしか利点はないが全てを含めてもデメリットがでかいんだよな、椅子を変えて貰うんだったとも思うがシートベルト付きとなると選択肢は多くは無いだろうし差も微々たる物だろう、と言うか飛ぶだけなら生身でも車でも良いんだが見た目的な驚きを減らすためだけに飛行機使ってるんだよな、まぁ障壁を可視化させれば見た目をある程度変えられるが透明か半透明か真っ黒にしかならんからな、半透明の飛行機って生身の人間より驚かせる事になる。

残念ながらこれを買って以降ずっとこの席から離れるのは無理らしい、少なくとも飛び立ってから着陸する瞬間までは我慢だ、まぁ唯一大きな窓が有るから景色は楽しめるが見慣れてるしな、今さら雲海とか晴天とかで感動とかしない、星空や夜明け朝焼け虹にその他でもだ、例えばリョコウバトが群れを成して飛んでたりしたなら生き残っていたのかと感動に震えるかもしれないが残念ながら群れを成して飛んでいるなら俺が発見するまでもなく世界中でニュースになってるな。


 さて、そろそろ目的地だ、と言ってもまだ百kmは有るが空の旅だと目と鼻の先なんだよな、何せ遮る物は基本無いし、そして俺の場合滑走路とか必要ないしな、垂直離着陸可能だからルート上を飛ばないなら何時でも離着陸は可能だ、まぁ安全性を考慮して隙間の数分でやるんだが普通の飛行機とは違って順番待ちとか滑走路から降り口まで誘導する時間とか無いからな、直で倉庫にインしてアウト可能だ、多少のスペースさえあるなら何処でも何時でも何度でも、失敗無しの無限ループも可能と言えば可能だがやりたくはないな、穴掘って掘った穴埋める拷問よりも非生産的な気がする。

 さて、願い願った北の地に到着したは良いが此処からもう一飛びしないとなんだよな、理想を言えば一周しつつ各地を回りたかったが日程的に法定速度を無視して連日24h耐久レースでもしないと無理だ、観光なんて無理だし楽しめないからな、だから札幌に飛行機止めて稚内まで生身で飛んで旭川帯広経由で札幌に戻るという弾丸行程だ、自分で考えた行程だがかなり頭のネジ外れてるな、うん、いや今更か。

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