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異能部  作者: KAINE
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買い物の日常

 ヒエラルキーだとかカーストなんてのは言葉が違うだけで日本語に訳するならどちらも階級制度とか序列決めとかその辺りになるだろう、人間に限らず生物が複数その場に居るならばそれは知ってか知らずか望むか望まざるかはを別として発生してしまう、要するにどっちが上で下かが明確でなくとも、言葉にしなくともなんとなくであったとしても決まるのだ。

 そして不思議というか必然なのだが、コミュニティが変わればその人のヒエラルキーや立場は大きく変わる、例えば会社の社長でも家に帰れば嫁に頭を下げる情けないお父さんだったりするだろうし学校では暴れん坊のガキ大将も通う道場では年相応の子供と化す様に、一つのコミュニティでどの立場に居ても別のコミュニティで同じ立場に居る訳ではないし職場に遊びに家にと複数の場所で複数の立場で各々が過ごしている。

 そしてそれらの立場を決めるのは地位や役職やカリスマ性や力や財や知識や、とにかく様々な物が複雑に絡み合って決まる訳だが異能も当然の様にそこに一石投じて混沌としたイニシアチブの引っ張り合いを更に加熱させていく、筈なのだが、そうなる筈なのに、あらゆる面から角度から照らし合わせて有史を紐解いてもおそらく九分九厘間違いが無いだろう結論に至るのだが、強いというだけでその立場や地位は自ずと上がる、ボクシングの世界チャンピオンや将棋やチェスの名人は強いというだけで尊敬の念を集め、彼らに直接指導されたいと願う若者は枚挙に暇が無いだろう。

だが、何故だが物理的な意味で世界最強の筈の俺の家庭内ヒエラルキーは四位だ、と言うか同率の四位だから実質五位とも言えるが、ペットの猫は猫ゆえに神だ、彼らは傍若無人の徒であり崇め奉られる様な立場に居ると確信しているような生物故に人間の理を持ち出しても叶う筈もないから良いとしよう、しかしお袋と妹よりダブルスコア以上は離されて俺と親父は下なんだよな、妹はまぁ性格的に人の上に立つと言うか歯に衣着せずに有無を言わせず従わせる雰囲気がある、しかしお袋はケセラセラな朗らか人間だ、自分で言うのもなんだがかなりアレな性格の俺と我が親ながらかなり陰気な親父と覇王な性格の妹を手玉に取るのは母親だからだろうか、しかしマトモな神経してたら地球割るような奴に週一でベットの下の掃除を手伝わせるとか、家電家具買いにいくのに荷物持ちに使うとかしないと思うんだが。そして俺も俺で逆らおうとはしない、そういう風に調整しているとは言っても根幹の部分までは変えていない筈だしそういう契約だ、まぁ守っているかどうかは俺には解らないし俺の障壁もそこまで都合良くはない、精神操作を防ぐ事はできても部分的には無理だ、物理干渉なら細かく設定可能だが精神面は百か零かの両極端、完全に防ぐかノーガードかの二者択一でしかなく根幹だけを守るとか性格だけ守るみたいな器用な真似はできない。


 これが物理ならかなり細かく行ける、重量ならマイクログラム単位から温度はコンマの後に幾つか零が並んだ℃でも可能だしパスカルもジュールもワットもアンペアもオームもボルトも含めて細かく設定できるし何を通して何を通さないかも設定できる、それこそ泥水を水に変えるなんて余裕だしウイルスやら雑菌やらアメーバやら目に見えない物でも除去可能だ、だが精神面はそう簡単ではないのだろう、とは言え零か百かでも防げるだけ良いのだろうが基本的に俺自身には張らないからそっち方面はザルなんだよな、一応は奴の操作が防いでくれるらしいがストッパーがないと我ながら危なっかしくて仕方がない、この世界にもそれなりに愛着も有るしな、愛着有っても壊すから質が悪いのだが幸いにして認識としては愛着でも本質としてはイカれてるレベルでの執着とかになってそうだ、流石に依存する程の執着心を持つ物を壊すって相当に歪んでるか可愛さが反転した憎さかだ、まぁ世界はともかく一定以上怒りを覚えれば対象を壊す殺す程度の余裕は持たせているっぽいが別に怒ってなくても物を壊す事はできるしやった事は無いが殺すのも可能だろう、倫理的にアレってだけだが倫理を持ち出すと壊したり殺してる時点でアウトなんだよな。

 少し思考が逸れたな、とりあえず調整してるがだからと言って、それを理由に唯々諾々と妹や母や猫の下に着いているというのは解せないし感情の揺さぶりである程度の幅が有る以上は理由としては薄い、庇護対象と言うならば他にも居るには居るが菜慈美はアレだし後輩もアレだからな、力無き対象となると舶来ロリくらいだが彼女の場合は上とか下とか超越してるからな、となると本能的に自分が下と判断しているか、もしくは手玉に取られているか、前者なら俺は世界最強の筈なんだがなとしか言えないし後者なら我が家の女性陣はどれ程凄いのかと畏れ入るばかりだ。

流石にそろそろ1時間は経ったかと腕時計を確認する、風防が割れたためお気に入りの物ではなくそこらのディスカウントショップで売ってた安物だが時間がズレるという事は無いだろう、修理が終わるまでの我慢だがこういう時や気分で変えるためにもう2本か3本腕時計を買った方が良いのだろうか、後で未来の義父に聞いておこう、とまれ、まだ10分か、どうしてこう待つ時間は長いのか、相対性理論の例えじゃないが楽しい時間は矢のようで嫌な時間は無限だな。

しかしアレだけツラツラと思考を巡らせてまだ10分かとも思うが同時にもうあの店に入ってから40分だぞ、これがビル一つ丸々の店舗ならばまだまだとも思うがショッピングモールのテナントだ、バックヤードを除くならせいぜいが20畳もない、シクったな、これなら本でも持ってくるんだった、お袋達の買い物は長いと知っていて『今日は新しいカーテンとテーブルだけ買って帰りましょう』なんて甘い言葉をどうして信じたんだ、家具店も入ったモールだぞ此処は、そりゃあ服も靴もアクセサリーも食い物も特に理由もなく見て回ると何故俺は予想しなかったんだ。そして何が恐ろしいってまだカーテンもテーブルも買ってねぇって点なんだよな、家具店のテナントまでやく50mはあり階層なら二階上だ、その間に幾つの店が有るのか数えたくもない、俺もテキトウに見て回っても良いのだろうが万が一にもこの店でそこそこの量の買い物した場合は荷物を受け取って車までダッシュする必要があるからな、下手に動き回れない、かと言って『早くカーテンとテーブル見に行こうぜ』なんて言った日には血を見るな、本当にミスった、せめてお袋達がテナントに吸い寄せられた時点で本屋にダッシュしていたなら暇も潰せたんだが、とにかく次の店が無い事を祈り、そして次の店が有ったなら本屋にダッシュだ。

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